甘い甘い菓子のような恋。
そんな夢のような恋を先輩は信じますか?
ショコラ
「天地くん!ここ!ここ!」
「先輩!わかりましたから。そんなに急がないで下さい。こけても知りませんよ?」
「ううっ・・・」
今日は先輩と新しくできたカフェへと来た。
所謂、デートである。
でも、なんというか本当にこの人が年上なのかと疑いたくなる。
年下の僕よりもはしゃいじゃって。
まあ、そういう無邪気なところも可愛いんだけどさ。
「ここのガトーショコラがすっごくおいしいんだって!」
「へぇ〜楽しみだなぁ」
「・・・・天地くん、すっごい毒舌な評価するのだけはやめてね」
「先輩。僕、そんなことしませんよ?」
にっこり笑ってそう言うと先輩は小さな声で「嘘だ」って呟いた。
あのねぇ・・・先輩。
聞えてるから。
まあ、そう思ったけどケーキも気になる事だし、あえて気にせず店へと入って行った。
「じゃあ、ガトーショコラと紅茶を二つ」
「かしこまりました」
先輩が笑顔で応対をして注文をする。
店員が向こうに行ったのを見た後。
先輩を見てみると今か今かとうずうずとした笑顔を浮かべるていた。
「先輩、そんな顔してもすぐには来ませんよ?」
「ううっ・・・わかってるよー!でも、楽しみじゃない?」
「そりゃあ楽しみですけど、先輩子供みたいなんだもん」
あ、今、自分でも的確な表現だなと思った。
本当に無邪気だから子供っぽいんだよね。
先輩って。
出逢った時からドジだったけどさ。
なんせこけてキスされるとは思わなかったし。
「本当に先輩って変わりませんよね」
「そ、そんな事ないよ!」
「そんなことありますって」
断言しきると少し恨めしそうに先輩が視線を送ってくる。
「天地くん、イジワル」
「拗ねても何もでませんよ?あ、ほら来たみたいですよ?」
その一声に先ほどまで拗ねていたのは誰やらパッと笑顔になってケーキに目が釘付けである。
ケーキと紅茶が置かれると先輩は店員がいなくなった後、早速フォークを持った。
「それじゃあ、食べようか!」
「そうですね」
そういうや否や先輩はパクリと一口ケーキを口に入れた。
僕はそれに苦笑しつつも同じくケーキに口を運ぶ。
口の中で甘くもほろ苦いチョコレートの風味が広がる。
確かに絶品と言われる一品だろう。
「ん〜〜〜!!おいしいぃ〜」
「本当ですね」
「今回は天地くんもご満足?」
「80点ってとこです」
「き、厳しいぃ・・・」
本当は嬉しそうな先輩の笑顔を見れただけでも100点なんですけど。
まだ、この気持ちを伝えるには早いと思うから。
だから、僕はまだイジワルな後輩のままでいることにしようと思った。
そうこうしているうちに先輩はパクパクとケーキを食べていく。
その時、ふと見ると先輩の唇の少し上にケーキが少しついていた。
全く急いで食べるから。
「先輩、ついてますよ?顔に」
「ふぇっ!?どこっ!?」
「唇の少し上」
すると先輩は少し検討違いなところを触り出す。
それに見兼ねた僕は手を伸ばしてケーキを取ってやるとそのまま自分の口に運んだ。
「あ・・・」
「ほら、取れました。先輩ぜんぜん検討違いのところ触るんだから」
「・・・・・」
「先輩?」
あらら、真っ赤になってる。
本当に先輩って変。
でも、まあ、これで少し意識してくれるといいんだけどね。
「先輩?何かいやらしいこと考えました?」
「なっ!?考えてないよ!」
「本当ですか〜?」
「天地くん!」
まだ今はこんな風に一緒にケーキを食べたりするだけで満足。
でも、いつか、いつか・・・絶対にこの気持ちを伝えます。
その時まで誰のものにもならないでくださいね?
先輩。
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