綺麗な綺麗な年下の彼女。
年下なのに拙者よりも大人で頭もキレるし、腕もいい。
才色兼備とはこの事だと実感させられる。
拙者にないものを全て持っているそんな拙者の愛おしき人。
彼女はどれほど拙者以上のものを持っているのだろうか?
年下の彼女
付き合いだして早半年。
告白して付き合う事になるなんて思いもしていなかった事。
それがもう半年もその関係が続いているという奇跡的な事実。
それだけでも嬉しいと思わなければいけないのであろうが。
そうもいかぬが男心。
付き合い始めて半年も経つのに手すら握れていない。
なんと情けない事だろうか。
そう思って今日、久々に重なった休日に部屋の中で過しているのにも関わらず思わず言い放ってしまった。
「殿。そ、その・・・手を・・・手を繋いでもよいですか!?」
「・・・・・・・・」
唐突に告げた言葉により異様な雰囲気が当たりに立ち込める。
常に無表情であるから表情の変化がないのは仕方ない。
しかし、何かを言うだの何らかの反応がないとどうにも動きづらい。
時間は刻々と刻まれていく。
数秒続いた沈黙に耐え兼ねて拙者がまた口を開こうとして顔を上げるとふいにずいっと殿が顔を寄せてきた。
今にも唇が触れそうな距離に音もなく近づいて見せたのだ。
「うわぁ・・・っ!!」
カァアアッと頬に熱が上がるのがわかる。
すると、彼女はそれに気づいてなのかはわからないが珍しくクスっと笑みを零した。
口角を少し上げるだけの本当に小さな変化だがそれを見逃すことなど有り得なかった。
今までずっと見つめ続けてきたのだから些細な変化だってすぐにわかる。
「ねぇ?バジル」
彼女がそっと楽しげに口を開いた。
吐息が顔に掛かり、思わずまた心臓がドクリと脈打った。
「は、はい!?」
少し上擦った声で返事を返すと
彼女は悪戯を思いついた子供のような無邪気な笑みを口元に湛え告げる。
「手を繋ぐだけでいいの?」
「へ?」
紡がれた予想外の言葉に拙者は気の抜けた声を出した。
「じれったい。キスしちゃうよ?」
「へ!?・・・んっ!!!」
驚くべき発言の後、考えぬ間も与えぬほどすぐに拙者の唇は彼女に塞がれた。
そっと触れて交わるそれがとても心地よくて夢を見ているように感じた。
その唇がそっと離れると互いに若干の熱を帯びた瞳で見詰め合う。
先に口を開いたのは彼女だった。
「今度はバジルから頂戴?」
「え!?」
また予想外な言葉に翻弄されるように再度驚く。
すると、彼女は拙者の首に両腕を回した。
「それとも私のこと嫌いになった?」
「そ、そんなことはないですが。いい、のですか?」
「いいも悪いも。こんなこと好きなバジルにしかさせないけど」
「だって恋人でしょ?」と尋ねられてそれもそうだと自己納得する。
それにしても先ほどから目まぐるしいほどの展開に若干頭はパンク寸前だ。
そんな拙者に気づいたのか彼女がまた笑った。
今度は満面の笑みといっていいほどの笑みで。
「言ってなかったけど私バジルの事昔から好きだったの。だから、告白された時も嬉しかったんだけど。
どこか通じ合ってないみたいで。全くキスとかもなかったからちょっとショックだったんだ」
「そう、だったんですか!?」
「うん。バジルらしいから奥手でも仕方ないと思ったけど。手を繋ごうなんて言われちゃ
それ以上もって願望が止め処なく溢れちゃって。だから、我慢できなくてキスしちゃった」
笑って告げられる真意にまたまた驚く。
普段、無表情無口を貫く彼女の饒舌加減にも驚かされるがその心の内に秘めていた情熱に驚かされた。
「すみません。拙者何も気づいていなくて・・・」
「別に謝ることじゃないよ。これからは気兼ねなくしてほしいなぁって思っただけだし」
「そ、それは・・・精進します」
直球に言われて思わずそう言い噤んでしまった
拙者に殿は意地悪く笑い耳元で囁いた。
「うん。でも、早く慣れてね。私が我慢できなくなっちゃいそうだから。
だって、女の方が性欲は強くてケダモノみたいなのよ?私は特にケダモノだから覚悟してね?」
「っっ!!!!」
妖しく艶かしいその誘うような声にもうこれでもかというぐらい顔を紅く染めた。
どうやら彼女は拙者を超えるものをもう一つ持っているようだ。
それは身の内に秘める欲望という名の獣を。
年下でケダモノな最強彼女は御好き?
(バジル。もっとキスちょーだい?)
(あ、甘い声で囁かないで下さいっ!!)
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