「恭弥。お茶」
「・・・さん、なんで僕がいれないといけないの?いい加減、咬み殺したくなるんだけど・・・」

応接室のソファに座り、足を組んで雑誌を読む美女。
と呼ばれた女性は不機嫌そうな恭弥の声ににっこりと優しげな笑みを浮かべる。
だが、その口から発せられたのはその笑顔からは想像できない言葉。

「あら?そんな事私に言っていいのかしら?
この学校の屋上から貴方の幼少期の写真をバラまくいてもいいのよ?それも可愛い女装姿の」
「・・・わかった。いれてくるよ」
「そう、素直な子は好きよ」

あの風紀委員長として恐れられている恭弥の姿とは思えないほどの素直さ。
そんなふうにできるのは彼女が雲雀恭弥の従姉だからだった。






最強無慈悲な従姉様







「入れてきたよ。いつものダージリンでよかったよね?」
「ありがとう。ん、また紅茶を淹れるのがうまくなったわね」

はそういうと恭弥の頭を撫でた。
その行動に恭弥は少し頬を染めつつ、すぐ向かいのソファへと向かった。

「あら?照れてるの?」

その行動ににんまりと意地の悪い笑みを浮かべて笑う
恭弥はバツの悪い表情を浮かべる。

「別に、そういうわけじゃ・・・・」
「そう照れなくてもいいじゃないの。本当に恭弥は可愛いんだから」

彼女はそう笑うとまた再び雑誌に視線を戻す。
それを見た恭弥は気づかれぬよう小さな溜息をつく。

「(全く、こっちの気持ちなんてまるで気づいていないだから。)」

そう、恭弥はに想いを寄せていたのだった。
それも随分小さな時から。
だから彼女の前ではいい子に見られるように心がけていた。
それが最近では裏目に出たと感じる。
昔のその行動のせいで恭弥はこの従姉であるにただ、出来のいい可愛がりのある従弟としか見られていない。
恭弥にとってそれは今最大難関な壁である。
思わずを見つめながら溜息を付きそうになった時、恭弥の視線に気づいたのかがじっとこちらを見つめてきたので
驚いた恭弥は思わず息を呑んでしまった。

「何か用?」
「いえ?それを言うなら恭弥じゃなくて?私の顔をそんなに見つめて楽しい?」
「別に見つめてなんかいないけど?」
「そう?熱い視線を向けられていた気がしたのだけれどね?」

何か含むようにそういうに恭弥は反論しようとした。
しかし、その瞬間どこからか爆音が響いた。

「あら?すごい音ね」
「(あいつらか。・・・ちょっと遊ぼうかな?)」

どうやら恭弥はむしゃくしゃした気持ちを爆音を轟かせた者たちにぶつけようと立ち上がり歩き出し始めた。

「恭弥?どこに行くの?」
「少し、お仕置きをしにいくだけだよ」
「ふーん・・・おもしろそうね。私も行こうかしら」

まさかの言葉に恭弥は固まると次の瞬間、間抜けな声を上げた。

「は?」
「だからついていくといったのよ。さあ、そうと決まればいくわよ」
「ちょっ・・・・はぁ・・・」

制止の声など聞かずに歩みを進め始めたに溜息をつく恭弥。
そして、すぐさま彼女を追いかけ、走り出した。

「ごっ獄寺くん!やりすぎだよ!!」
「大丈夫ですって!十代目!!」

音のする方向へと向かった二人はその声に動きを止める。
恭弥はやはりというような顔をした。
そして、すぐさまトンファーを構えると彼らに近づく。

「そこで何をしているんだい?」
「うわあああああっ!ひ、雲雀さんっ!?」
「てめぇ・・・・!!」

恭弥が声をかけると警戒するように己も武器を構える獄寺。
それを見て恭弥は「ふーん・・・」と目を細めた。

「やるの?君が?」
「そうだが何か悪りぃかよ?」
「別に。ただ咬み殺すだけだよ」

二人がその言葉を合図に互いに飛び出そうとした瞬間だった。

「ふーん。おもしろい子だな。ダイナマイトなんて持ってるなんて」

クスクスと笑うような声と同時に恭弥の遥か後方にいたが近づいてきた。

「ええ!?な、なんか誰かきた!?すっごい美人がきた!?」

ツナはあまりに色々目の前で起こる為、やや混乱気味だ。
あまりの美貌に獄寺さえ固まっている。
ただ、唯一恭弥だけは溜息をついた。

「恭弥の学校にこんなにおもしろい子がいるなんて思わなかったわ」

そう、笑うとはにっこりと笑って獄寺に近づき、一本ダイナマイトを取った。

「本当に本物なのねぇ・・・」
「て、てめぇ、返せ!」
「あら、じゃあ、返して上げましょうか」

そういうと次に見た瞬間、は残酷なほど皮肉めいた笑みを浮かべていた。
すると獄寺のタバコに一瞬、ダイナマイトを近づけた後。
すぐさまそれを手から離した。
そして、恭弥の元まで一瞬で戻ると手を振った。

「バイバイ。さあ、恭弥行きましょう。お昼ご飯食べたいから」

そういうと振り向きもせずに校門に歩き出した。

「え・・・うわぁっ!?獄寺くん!?」
「ええっ!?」

気づけばいつの間にか獄寺が持っていた
全てのダイナマイトにいつの間にか火がついていた。
しかし、時既に遅し。
大きな爆発音と共に爆発した。

さん・・・・」

顔を手で覆いながら恭弥は呟いた。
するとは振り返りこういった。

「あら。私と恭弥の時間を邪魔したのだから当然の報いよ」
「え・・?」
「ほら、さっさと行くわよ。貴方は私だけを見てればいいのだから」

にっこりと勝ち誇った笑みを浮かべた
それを見た恭弥は瞬時に思い知った。
この人は最初っから僕の気持ちなんて知っていて。
実はこの人も僕の事を想っていてくれて。
それでいて僕の反応を見て楽しんでいたのだと。
嬉しいのだけれど素直に喜べない恭弥はの腕を捕まえるとこちらを向かせて強引なキスをした。
それは咬み付くような獣のようなキス。
唇はすぐ離れてそこにはさきほどと変わらぬ笑顔を浮かべたがいた。

「キス、上手いじゃない。でも、今度からは照れ隠しに以外でして頂戴ね」
「・・・・っっ!!」

再び見抜かれてしまった恭弥は頬を微かに紅く染めた。
そして、やっぱりこの人には勝てないと思い知るのだった。

「(でも、そんなが僕は・・・・好きなんだ。)」

そう想い、その少し朱に染まった表情を気にする事なく微笑を浮かべるのだった。



風紀委員長な彼が好きになったのは最強無慈悲な従姉様