私は相当毒されている。






Gift von scorpion







「どうかした?」

セルリアンブルーの瞳が私を捕らえて放さない。

「別に何も」
「何もないって顔じゃなかったけど?」
「本当に何もないって」

そういって私は再び読んでいた本に視線を戻す。

「ふーん・・・ならいいけど。あ、そうだ。は知ってる?」
「何を・・?」

私が問いかけると幼い子供のような表情でミロが言った。

「ピアスを開けると運命が変わるって話」
「・・・運命、ね・・・そんなの変わらないと思うけど」
「なんで?」
「なんでって・・・」

私は思わず言葉を濁す。
ピアスなんて開けたところで変わるはずがない。
貴方はまた聖闘士として、死へと向かう戦いへと身を投げるのに。
そんな事で運命が変わるなら、貴方の死を回避できるなら私はいくらでも開ける。
しかし、まさかそんな事を口走る事もできず、私は黙り込む。
するとミロはそれを察したかのように私に向かって言った。

「まあ、いいや。でも、試しに開けてみない?」
「嫌」
「なんで!?」
「痛そうだから」

私が正直な気持ちを伝えるとミロは口を押さえて必死に笑いを堪え始めた。

「なぜ笑う」
「いや、だって・・・さ・・・プククッ!!」

ひとしきり笑った後、ミロは立ち上がり私の前まで来た。

「?」

私は何をされるのかと思っているとミロは少し屈んで啄ばむような口付けをした。
そして、耳元でこう言われた。

「俺が運命を変えてやるよ。の運命」

そういって彼は手を引き、歩き始めた。
本当に傲慢だと思う。
自分勝手だし。
無駄に強気だし。
でも、そのセルリアンブルーの瞳を見ていたら信じてもいい気がした。

「痛くしたら怒るから」
「たぶん大丈夫」

そういって苦笑する君。
やっぱり私は相当毒されている。
この蠍の毒からはきっと逃げられない。