ねぇ?君は昔から変わってないね。
強い所も大人びた所も。
昔では考えられないのは今の私たちの関係。
あの時の言葉を本当に実行するとは思わなかったから。






甘い吐息で殺す







「ふふっ・・・」
「あ?何、笑ってんだ?」

いつもの黒スーツを身に纏い不機嫌そうな顔を向けるヒットマンが一人。
相変わらずお気に入りのエスプレッソを口にしてこちらを見た。

「え?いや、なんか懐かしい事思い出しちゃって」
「懐かしい?」
「うん。リボーンがまだ十代目の家庭教師をしてた頃のこと」

リボーンの隣へと座り顔を覗き込んだ。
するとリボーンの眉間の皺が三割増していた。

「そんなこと思い出さなくていいぞ」
「無理よ。もう思い出しちゃったんだし。そんなに嫌なの?昔の自分を思い出されるのは」

そう尋ねると不機嫌そうに無言でまたエスプレッソに口をつけた。

「でも、本当に懐かしいわ。貴方は昔から変わってないわね」
「・・・成長してねぇーって言いたいのか?」
「違うわよ。もちろんカッコよく成長しちゃって私は驚いているわよ?
言ってるのは中身。リボーンは昔から強くて無敵で紳士的だったなって話」

笑いながら「ついでにタラシっぽいところもね」というとリボーンは今度は苦い顔をせずに私に近づいた。
それは悪戯を思いついた子供のような笑顔で(事実、彼はまだ未成年なのだけれど)
私の耳元で囁いた。

「そんなタラシな俺の恋人になったお前はよほどの物好きって事になるぞ?」

こうやって耳元で囁くリボーンの声は本当に甘く甘く私はおかしくなりそうになる。

「ちょ、リボーン・・・!」
「なんだ?」
「わかってて言ってるでしょ!?」
「当然だぞ」

本当にこういうところは変わってない。
昔なら小さい子の背伸びだと許せるのだけど、今はどうみても美少年。
誰が見てもカッコイイと思うからなおさらだ。

「本当にもう!でも、今思えばあの時の事が本当になるなんて思わなかったわ」
「あの時・・・?」
「リボーンが私に向かって未来恋人宣言したときの事」

私はあの時の台詞を思い出し、思わず顔を赤らめる。

「ああ・・・そんな事もあったな。だけど本当になっただろ?俺の勘は当たるんだ」

すごくいい笑みを浮かべるリボーン。
私は参ったと言わんばかりに手を掲げた。

「そうね。リボーンの勘はいいものね」
「だろ?」

自信満々で私を見るリボーン。
本当にこんなことになるなんてあの頃には思いもしなかった。
だって、赤ん坊にいきなり告白されて本気にする人なんて居ないでしょ?
でも、今となってはそれも懐かしい話。
今はこの目の前にいる彼のことをどこまでも愛してる自分がいる。
・・・昔みたいにリボーンが愛人なんか作ってたらどうなるかわからないけど。
でも、今は彼も私に一筋みたいだし。

「ねぇ?リボーン」
「なんだ?」
「私、貴方を愛せて今とっても幸せよ」

満面の笑顔を浮かべてそう言うとリボーンは一瞬目を見開いた後。
私の元へと近づき抱きしめてこういった。

「俺もお前の一番近くに入れて幸せだ」

その声はどこまでも甘く甘く。
私をどこまでも溶かす。
私がリボーンを見つめるとリボーンはそのまま私の唇にキスを落とした。
ああ、本当に聞こえると息すら甘くて私はいつか完全に溶かされてしまいそう。
ねえ?ずっと私だけを愛して見ていてね。
ずっと私の傍で。