愛おしくて愛おしくて。
永久に捕らえていたくて。
弾丸に俺の名を刻んでお前に撃ち込んでみてはどうだろうか?
そうすれば、俺はお前の中に永遠に残るのだろうか?






LOVE HOLIC







「リボーン、貴方えらく物騒な事を考えているのね」

帽子を顔にのせてソファに寝転びながらそんな思考に耽っていると急に声が響いた。
どうやら声に出ていたらしい。

「まあな。俺はヒットマンだぞ」
「それとこれとは関係ないでしょう」

きっぱりと言われれば本当にそれまでなのだが。
俺は起き上がり帽子を被り、ソファに座りなおすと足を組んで横目で彼女を見た。
彼女の名前は
俺の恋人である。

そんなを俺は異常なまでに愛している。
だからこそさっきみたいな物騒な発言が飛んだのだが。

「リボーン?本当にさっきから何を考えているの?眉間に皺を寄せて」
「別になんでも。それよりちょっと来い」

自らの足の上を指してそういうとはちょっと躊躇った後、おとなしくその膝の上に向かい合うような形で座った。

「どうかしたの?リボーン」
「大した事じゃない」

そう言いながらの肩に自らの顔を埋める。
掛かる吐息がくすぐったいのか笑いをときどき浮かべる
その仕草が愛らしく俺はの首筋に軽くキスを落とした。
そして、再びその体温を全て奪い尽くすように強く抱きしめた。

「本当に変なリボーン。私を殺して永遠を手に入れようなんて何を考えているの?」
「・・・しっかり聞こえてんじゃねぇーか」
「そりゃあ伊達にマフィアやってませんから」

笑顔を浮かべてそう言うを見てなんだか負けている気がした。
やはり年上なだけあってその辺では勝てない。

「ようするにリボーンは私とずっと一緒に居たいと思ってくれてるんでしょう?」
「・・・・まあ、な」

肯定するのに多少躊躇うがどうせ誤魔化したところでもう見抜かれているのだ。
こうなりゃ全部曝け出せと半ば自暴自棄と化す。

「なら安心して頂戴。私は貴方が望む限りは傍にいるから」
「そんな口約束は誰にでもできるだろうが」

素直に思った事を口に出すとはふと考え込んでこういった。

「なら、これならどう?」
「??」

急に何をするのかと思えば護身用のナイフを取り出しあろうことか自分の手首を切り裂きやがった。

「なっ!?」

さすがの俺でもこれには驚いた。
突発的に何かやらかす奴だとは理解していたが自殺紛いのことまでやり出すとは。
驚きを通り越してそろそろ呆れそうだ。
しかし、彼女は血を止めるどころかそのまま笑顔でこう告げた。

「リボーンが信じてくれるまでこうしてるから信じる気になったら言ってね?」

あまりに無茶苦茶な提案に俺は思わず頭を抱えた。
自分の命を賭けてまでやるとは・・・
まあ、俺の選んだ女だからそれぐらいの度胸がないと困るが。
しかし・・・

「わかった。信じるから早く治せ」
「はーい」

俺が降参と言わんばかりにそう言うとは上機嫌で自分の特殊な能力を使い手首の傷を治した。
治った事を確認するようにの腕を掴んで傷のあった場所を丹念に見る。
どうやら治ったらしい。
しかし、さきほどまで切れていた事を物語るように血がべったりとついている。
俺はそれを見て舌で舐め取ってやる。

「ぅ・・・!」

その瞬間、の瞳が揺らぎ甘い吐息が漏れたのを俺は見逃さなかった。
俺は不敵な笑みを浮かべて腕を舐めながら告げた。

「なんだ。感じてるのか・・・?」
「バカ。くすぐったいだけよっ!」

顔を紅くして反論する姿を見てようやく形勢逆転とにやりと笑みを浮かべる。

「本当にそうか?その割には瞳は潤んでるし、顔は火照ってるぞ」
「意地悪っ・・・!」

そうやって上目遣いで睨みつける姿は本当に無意識かと尋ねたくなるぐらい愛らしい。
本当にいつか理性が壊されて無茶苦茶にしてしまうんじゃないかというぐらい。
そんな思考が過ぎってようやくなんとなく合点がいったことがあった。
もう、たぶん俺はなしでは生きていけないのだろう。
依存と言う言い方は悪いかもしれないがそれほど求めてしまっている。
きっと彼女に何かあれば俺は狂ってしまう。
そんな不確かだが確実だと思える程の想いがこの胸に焼きついていた。
ああ、だから俺はきっと彼女を自分の手で殺めたいと願うのだろう。
誰かの手に掛かる事すら許せないのだ。
彼女の全てを手に入れ尽くさなければ。
どこまで強欲で貪欲で滑稽なのだろう。
俺はそこまで恋情に溺れることはないと思っていたんだが。
仕方ないか。

という最高な女に出会ってしまったのが運のツキだったんだから。
俺はきっとこいつに全てを捧げ、こいつの全てを奪う運命だったのだから。
そう思えば先ほどの暗雲はなくなり、晴れやかな気持ちになった。


「何・・・?」
「俺の傍から片時も離れるなよ」

急な俺の申し出にはきょとんとしたがすぐに笑顔を浮かべて俺の頬にキスを落とす。

「もちろんよ。貴方とどこまでも歩む為にもね」

その言葉に俺は笑顔を浮かべて耳元でこう言ってやった。

「・・・Lei e richiesto per me. Da quando Lei e amato. Percio, promettiamogli ad amore eterno・・・」

そうすればは見る見るうちに笑顔を浮かべて実に嬉しそうに笑った。



(愛なんて甘美なドラッグで何処までも身体に染み渡り侵し尽くしてしまうものだ。)