※「君の温もりの中で」の続編です。


「シャカ・・・怖い・・・」

殺気を帯びた空気が静かに流れてきて肌に刺激を与える。
平穏だった私たちの暮らしは戦いと言う無情なる炎で崩壊する。
私はただ、彼の傍で平穏に暮らしたいだけなのに。






死に逝く君に捧げるのは







「恐れる事はない。このシャカがいる限りお前に危害を加えさせたりはしない」

そう言って自分の腕の中へと私を抱きしめてくれる。
それだけなのだけれどとても安心する。
シャカは私の世界だから。

「うん・・・でも、シャカも死んだら嫌だよ」
「わかっている。お前を一人にして残したりなどできると思っているのか?」
「むー・・・・なんか微妙に子供扱いされた・・・」

私がむくれるとシャカは微笑を浮かべる。

「そうは言ってない。ただ、このシャカが離れたくないのだよ」
「・・・・それならいい」

私は顔を赤く染めながらシャカの腰に手を回す。
温もりが伝わってくる。
だけど、ふとシャカが私から離れた。

「シャカ・・・?」
。君は隠れていたまえ。どうやら敵の到着のようだ」
「・・・わかった。気をつけてね・・・?」
「ああ。すぐに戻る」

こんな時、自分に戦う術がないことを呪う。
何故こんなにも私は無力なのか。
何故こんなにも足手纏いなのか。
それでも私は傍に居たいと願ってしまう。
矛盾しすぎている。
でも、そんな事はどうでもよかった。
シャカも私が傍にいることを望んでくれてるから。
だから、私は何があっても傍らを離れないの。
それは私の身勝手な行為だけど。
あれから数刻の時が過ぎた。
まさか敵が黄金聖闘士とは思いもしなかった。
いくらシャカでも黄金聖闘士を三人も相手にするのは無理なことだった。
その瞬間、わかってしまった。
彼は死を受け入れようとしている。
私は恐怖した。
彼のいない世界など闇でしかない。

「シャカ・・・」

思わず名を呼ぶ。
その声が聞こえぬことなどわかりきっていても。
ふと気付くと辺りの空気が変わった。
シャカが微かに優勢と化していた戦いが変化したのだ。
敵であるサガとカミュとシュラの小宇宙が高まるのを感じた。

「ダメ・・・!シャカ!!」

私は夢中で走った。
シャカは瞳を閉じて死の瞬間を受け入れようとしていた。
私は力の限り大きな声で叫んだ。

「シャカ!!」
「!?!ダメだ!出てきてはいけない!」

その声に気付いたサガたちもへと目線を向ける。
だが、時はす既に遅し。
シャカの元へと駆けていったはシャカの腕に抱きとめられた。

・・・!急いで・・・」
「ダメだよ。私は一緒にいるから。例え、死のうとも」

凛とした意志の強い瞳でシャカを見る。
決意の固さを一瞬で理解したのか柔らかな笑みを浮かべて額に口付けを落とされる。

・・・ならば共に逝くか・・・」
「うん・・・私、怖くないよ。
いつもシャカは言ってたじゃない。死もまた新たな始まりだってそれにシャカと一緒なら何も怖くない」

私は、その想いに答えるように嬉しげに微笑み強くシャカに縋り抱きつく。
それを、強く抱き返す腕に眠るように瞳を伏せる。
彼の鼓動が聞こえてくる。
まるでそれは子守唄のようだった。

「・・・そうか。愛している。ずっとこのシャカの傍に」
「うん。ずっと・・・一緒だよ」

そして、私たちは光に包まれた。
死は新たなる始まり。
それが本当かはわからないけれど。
私が唯一できることはこの身を捧げることだから。
共に逝こう。
沙羅双樹の花を散らしながら。