※「死に逝く君に捧げるのは」の続編です。
肉体が滅びていくのを感じた。
熱く熱く燃えるように。
でも、不思議と痛みは感じなかった。
ただ、貴方の腕に抱かれ薄れ逝く意識の中、これも幸せなのだろうと思った。
愛する貴方の腕の中で朽ちていくのは。
だって貴方は私の光。
私の世界だから・・・
君への永久の愛
死は新たな始まりとよくシャカが言ってた。
だから、目覚めて最初に何を見るんだろうとかそんな事をよく考えたりした。
新たな始まりに一番最初に見るのはシャカだといいなとか。
それをシャカに言ったら「本当にお前は・・・」と苦笑されたっけ。
なんだか全てが懐かしい。
そして、色が全て薄れていく。
光に飲まれてどんどん消えてゆく。
これからどうなるんだろう?
何も思い出せなくなるんだろうか?
なんだか・・・
とても眠くなってきた・・・
「・・・」
・・・・?
声・・・?
誰かが呼んでる。
誰が呼んでるんだろう。
とっても大切な人だった気がする。
「・・・・」
心に染み渡るように響く。
その声は警告音のようでもあった。
このまま眠ってしまえばもう二度と聞けない。
そんな気がした。
だから、眠気を振り切って瞳を開けようとする。
そして、手を天へと翳す。
すると甲に暖かな感触。
そう、そこに居たのは・・・
「シャ・・・カ・・・?」
「・・・!よかった・・・!!」
きつくきつく抱きしめられた私はそれに答えるようにシャカの背に腕を回した。
「痛いよ・・・シャカ」
「ああ・・・すまない・・・がなかなか目覚めなかったのでな・・・」
「心配してくれたの・・・?」
「当たり前だろう」
その一言に頬が緩んだ。
そして、辺りを見回して私はシャカに問うた。
「ここは・・・聖域?」
「ああ、そうだ。我らの住まう場所。もう聖戦は終った。冥界との決着はつき、その結果我らは再びこの地に住まう事が許されたのだ」
「でも、あの時・・・」
「確かに我らは一度命を落とした。しかし、女神たちの力により生き返ったのだ」
壮大な話に少し混乱しながらも私とシャカが生きてるという事実に喜んだ。
そして、そのままシャカに抱きつく。
「そっか・・・まだ、生きてる」
「そうだ。我らは生きている。まだこれから幾年もの間、言葉を過ごし生きていける」
「そうだね・・・嬉しい」
微笑みシャカを見るとシャカの顔が間近に近づいてきた。
唇に暖かな感触が降る。
「ふぁ・・・ん・・・」
甘い吐息が漏れる。
視界にきらきら光るものが目に入る。
それはシャカの髪。
あの日もこんな風にきらきらと太陽の光に照らされ輝いていた。
初めて綺麗と思ったもの。
私の世界の始まり。
「・・・」
唇が離れて呼吸を整えていると優しいシャカの声が響いた。
「シャカ・・・?」
「これからも傍にいてくれるか?」
「・・・もちろんだよ。だってシャカは私の世界だから」
そう言い切り、微笑む私を見てシャカは今まで一番綺麗な笑みを浮かべた。
とても幸せそうな笑顔。
それを見た私は再びシャカに強く抱きついた。
「シャカ・・・好きだよ」
「ああ・・・私もだ・・・」
初めて光を見た日。
初めて愛する者と朽ちた日。
初めて再び貴方の笑顔を見た日。
いつも隣には金色の髪を持つ貴方が居た。
私の光。
私の世界。
私の一番大切な人。
そして、その人と私は永遠に歩んでいく。
片時も離れることなく、永遠に・・・
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