生きている貴方の傍に。
死んでしまう貴方の傍に。
私はずっと貴方の傍に居るわ。
そして、貴方が生きていた記憶をこの脳に心に刻んで。
ずっと、ずっと、貴方の生きた証になるから。






遺伝子にまで貴方を刻む







今も本当は貴方が生きる為の方法を探している。
でも、貴方が生きている間にもしその方法を見つけられなかったら私は貴方と一緒に死にたいと思った。
だって、孤独は辛く、悲しく、苦しく、この身を、心を蝕む。

「駄目。は生きて」

だけど、彼はそれを許してはくれなかった。
珍しく感情を露にして。

「どうして?私も、傍に居たい」
には僕が死んで欲しくない」

背に回された腕がぎゅっと力強く私を抱く。
それが切なくて、苦しくて、だけど、愛おしくて。

「宵風の馬鹿」
「うん」

本当なら承諾したくないのに。(だって、自分勝手過ぎる)

「でも、宵風が望むなら・・・叶えるよ」
「うん。ありがとう」

どうしてもと貴方が珍しく求めたから。(貴方の唯一の願いを無下にも出来ない)
私は彼に約束と言われてキスを贈られて、そのキスに誓う様に瞳を閉じた。
何度も繰り返し、繰り返し、啄ばむ様なキスを交わす度に互いに鼓動が激しく鳴り響き、生きていると思えた。
荒くなる息や直接感じ合う灼熱に近しい温もり。
春、夏、秋、冬と春夏秋冬に感じる季節の薫りや景色。
一緒に食べたもの、一緒に乗ったもの、一緒に触れたもの、一緒に行った場所。
私達の思い出を構成する全てを私は全身に、細胞に刻みつける。
何年もそれを私は繰り返す。
貴方が亡くなるその日まで。
だから、せめて・・・

「宵風」
「何?」

私の全てを捧げるから。
少しでも生きようと足掻いて。
本当はそう願い求めてる。

「愛してるよ。宵風」

額を合わせて、瞳を閉じて、静かに有りっ丈の思いを込めて紡ぐ。
触れ合う髪がくすぐったい。
願いは言葉に出来ないけれど、想いは言葉に出来るから。
貴方の生きている証を刻みつける私に貴方も想いを言葉にして返して。
それだけが私が直接、貴方に求める事。

「僕も愛してる」


神様は時に残酷な試練を告げる。
(何で、こんな運命を私達に進めと言われるのか)