続いては獅子宮。
巨蟹宮でデスマスクとムウとカノンは壮絶な戦いを繰り広げ出したので一足先に来たのだけれども。
一体どんな人が居るのか不安だったり。
でも、確か私の前の射手座の聖闘士の弟さんだとカノンが言っていたし、たぶん、たぶんまともな人だと思う。
というかそうであって欲しい!!
でも、蟹・・・いやいやデスマスクの隣の宮の人だしな・・・
不安は結局消えぬまま歩みを進めるであった。
GARNET MOON
第十話 十二宮突破!!第五の宮・獅子宮
「到着、と」
到着するや否や周りを見渡し変な所がないか確かめる。
うん、まともな宮だよね?
顔とかないよね?
どうやら巨蟹宮の死人の顔がどうにもトラウマらしい。
「よし!!すみません!!誰かいませんか??」
はそういって獅子宮に向かって叫んだ。
完全にパターン化してきたなとしみじみ思いつつ、しばらくすると一人の青年が颯爽とでてきた。
「お前が新しい射手座の後継者か?」
今度はまともだと内心ほっとしたは少し緊張を抱きつつも落ち着いて自己紹介を始める。
「は、はい!新しい射手座の黄金聖闘士になったです。よろしくお願いします」
アイオリアは静かにを見た。
そして、有ろう事か次に想像を絶する発言を投げかけてきた。
「お前、本当に男か?そのような脆弱な体!!男として認めん!!」
・・・はい?
は聞き間違いだと思ったがどうも違うらしい。(凄い真顔でこっちに向かって言ってきているし。)
そんなに魅力がないのだろうかとしばしショックを受ける。
が、それはともかく何か勘違いされていると悟ったは少し冷静になって返す。
「ちょっと待って下さい。私は女です!っていうかどっからどう見ても女でしょ!?」
ギリシャ人と日本人では感覚が違うのだろうかと疑問に思ったりしたがたぶんそれはないだろう。
というかそもそもここは日本語が流暢な人が多いな。
言うだけ言うと違う方向に思考が向き始めたを余所にアイオリアはの一言に困惑していた。
「(女?でも兄さんの後継者なんだから普通男なのでは?第一、聖衣のサイズとかってどうなっているんだ?
あきらか兄さんのサイズだと大きい。いや!そんな事はどうでもいいんだ!女であろうと力を確かめないといけない事には変わらない。)」
悶々と色々考えを巡らせるアイオリア。
それと同じくして同じく悶々と色々考え始めた。
「(アイオリアさんって凄く鍛えてる。というか聖闘士になるにはあそこまで鍛えなきゃいけないのかな?
そんな事ないよね?ムウとか細いし。でも、男と私を間違えるなんてもしかして女性の免疫がないのかな?ウブなのかな?)」
悶々と互いに自分の思考に耽り、一向に先に進まない二人であった。
その頃、巨蟹宮では。
「いい加減にくたばったらどうですか?デスマスク!!」
「誰がくたばるか!!っていうかお前等、二人がかりで卑怯だろ!?」
デスマスクがそういって二人を指差すとカノンはふっと笑って。
「お前が卑怯などというのか?笑止!」
「お前キャラ変わってるだろ!!」<
「そんな事はどうでもいいんです!カノンが潰れようが元々潰れきっているんですから」
ムウはさらりとカノンに向かって毒を吐いた。
「おいっ!!ムウ!お前絶対に俺の事年上だと思ってないだろ!?」
「さぁ?・・・ちょっと待ってください!」
首を傾げて恍けたムウがふと異変を感じて叫ぶ。
それに互いに動きを止めるデスマスクとカノン。
「ああ?」
「どうしたムウ?」
「彼女がいません・・・・」
三人はあたりを見回す。
「もしかして・・・・」
「先にいったのだろうな」
「あーもー!さっさとあいつの後を追うぜ!次の宮はあんの体力バカで頭が固いアイオリアだからな!」
「なんで気づかなかったんでしょうね?」
「俺が知るわけないだろ!というか蟹!お前まで何故来る!?」
カノンはビッシとデスマスクを指差しながら言った。
「あ?あったりまえだろ?俺はアイツが気に入ったからな。得点かせがねーとな。第一俺は蟹じゃねー!」
ようやく久々にツッコミを入れたデスマスクだったがそれを二人にさらりと流される。
そして、ムウが心底嫌そうな顔を浮かべて毒舌を発揮した。
「なんて不純な・・・あなたは蟹という時点で論外でしょ?」
「「ムウ・・・お前最近性格変わってきてるぞ?」」
漸く獅子宮へと向かった三人。
が、その頃、再び獅子宮の二人はまだ固まって悩んでいた。
「(だが確かめるといっても相手は女。ましてや少女だ。星矢達みたいに力技という訳にもいくまい・・・
かといって手加減しては相手には失礼だし・・・ああ!!もう!!どうすればいいというのだ・・・!!)」
やはり女性に免疫のないアイオリアはどう対処していいのか判らず地団駄を踏みながら戸惑っていた。
で、一方は。
「(ちょっとだけ男と間違えられた腹いせに抱きついてみよっかな。ちょっとぐらい悪戯しても怒られないよね?)」
「(とりあえず近づいてみるか・・・?どんな反応を見せるか気になるしな・・・・。)」
そうアイオリアが思って前を見たところがアイオリアのまん前まで来ていた。
急に振り返ったアイオリアに同じく驚いたが固まっていると驚いたアイオリアが大きな声を上げた。
「うわぁ!!」
「へ?きゃあああ!!」
そして、その声に驚いたに巻き込まれるようにしてそのままアイオリアと一緒に地面へと倒れた。
その頃、全力疾走してきた三人も漸く獅子宮についていた。
「よし。ついたぜ・・・おい!!アイオリア!!」
デスマスクが力一杯叫ぶが声が反響するばかりで返事はない。
「返事がないな・・・」
「もう先に行ったのでしょうか?」
とりあえず三人は獅子宮に足を踏み入れた。
すると先ほどの二人の声が聞こえてきた。
「今のは・・・!?」
「何かあったのかもしれん!行ってみよう」
「ったくあの石頭。何しやがったんだ?」
そうしてすぐにムウたちの目の前に入ってきた二人はすごい事になっていた。
バランスを崩したときにがひっぱったせいでアイオリイアがあたかもを押し倒しているように見えた。
三人は思わず固まった。
何せ事が事である。
「(これは・・・まさかアイオリアがを押し倒したというのですか!?)」
「(信じたくはないが聖域でもまだまともな分類に入るアイオリアがを!?そうとしか見れん!!)」
「(まだケツの青いガキだと思って油断していたがまさか押し倒したのか?)」
三人はどうしていいのかわからず立ち尽くした。
「いたたたたぁ・・・・・」
「っ・・・」
その二人の呻き声に三人はハッとして二人を見た。
「(あれ?目の前がなんか暗いな?私確かこけてそれから・・)・・・アイオリアさん?」
「・・・!す、すまない!」
が訳が解らないといった感じでアイオリアを見上げていた。
アイオリアは一瞬何がなんだか解らなかったが目の前にの顔があるのに気づき顔を赤くして急いで飛び起きた。
女性に免疫がないので尚更照れが生じたのだろう。
が、はというと特に気にする事もなく状況を分析する。
「・・・えーっと・・・ああ!そっか!急にアイオリアさんが振り向いてお互いに驚いて。
私がそのままバランスを崩してこけそうになって思わずアイオリアさんを掴んじゃって巻き込んじゃったんだ!」
そのの言葉にムウとカノンとデスマスクはほっとしてに近づいた。
「おい!!大丈夫か?」
「あれ?カノン。もう喧嘩は終ったの?」
「ふふ。。あれは喧嘩なんかじゃないですよ?」
はムウのその言葉は絶対嘘だと思った。
あんだけ技を繰り出しまくっていて少し宮が崩れそうになったりしてたのを喧嘩じゃないといったら何になるのだろうか。
「それよりアイオリア!てめーに厭らしい事してねーだろうな?」
そういってデスマスクはアイオリアを睨みつけた。
もちろん状況はが言った事で間違いないのだろう。
ぶっちゃけるととあんなおいしい状況になりやがってという腹いせである。
「だ、誰がそんな事をするか!!俺はただ力を確かめようとだな・・・・」
「なーに動揺してんだ?本当はあれわざとなんじゃねーのかよ?」
「なっ!!」
カノンもそれに便乗して、にやりと意地の悪い笑いを浮かべていった。
カノンも理由はデスマスクに同じくだ。
どうにもこういう悪知恵では意見が合う二人らしい。
「確かに。あれはアイオリアが押し倒しているようにしか見えなかったしな〜あれか?アイオリアはむっつりスケベとかいうやつか?」
「だ!だれがだ!!!」
「むっつ・・・?」
「は気にしなくていいんですよ」
ムウはいつの間にやらの横にいて髪を撫でながらそういった。
アイオリアを助けないのは巻き込まれたくないと言う気持ちと少しは報復ぐらい受けろという気持ちが半々である。
が、臨界点にいきなり突破したらしいアイオリアが顔を真っ赤にしながらデスマスク達に詰め寄る。
「俺は断じて違う!いい加減にしろ!ライトニングプラズマ!」
「うわぁ!いきなり必殺技を出すな!」
アイオリアがついにキレてデスマスク達に向かって攻撃した。
その様子に流石のムウも被害が来ると立ち上がり注意を促す。
「何をやっているんですか!!」
「きゃあ!!」
「にまで!!アイオリアいい加減にしろ!」
そのカノンの声にすかさずムウがつっこんだ。
「元はといえば貴方たちが原因でしょう」
「お前たち絶対に許さん!」
そうやって怒っているアイオリアの声の後に甲高い声が聞こえた。
「ああああああああああああ!!」
「どうしたのですか!?!怪我でも!!」
その声を発したのは紛れもなくだった。
思わぬ叫び声に面々が固まっているとこれまた予想外の発言をする。
「私の!私のコートが!気に入ってたのにー!」
「「「「は?」」」」
四人は声を揃えて間抜けな声を発した。
見てみるとのコートが見るも無残になっていたのだ。
先程のアイオリアのライトニングプラズマが当たったらしい。
「あーそりゃ残念だったな」
デスマスクが一番に気づきそういった。
「。落ち着いたら私と一緒に買い物でもいって新しいの買いましょう。この三人のせいで飛んだ目にあいましたね」
ムウに至ってはデートの約束を取り付けようとしている。
そう言うところは誰よりもちゃっかりしている。
「でも、悪いのはアイオリアだろ?ライトニングプラズマなんかやるから」
「俺のせいなのか!?」
アイオリアは驚いて周りを見た。
「そりゃーお前のせいだろ?」
「第一デスマスク貴様がいきなり俺がわざとのことを押し倒したとか言う出すから悪いのだ!!」
「俺かよ!!それじゃあカノンだって同罪じゃねーか!」
そういって三人は罪の擦り合いをし始めた。
それにムウが「もう三人ともやめなさい」と割って入っていった。
は座り込んでぼろぼろのコートを見ていたが三人がまた喧嘩を始めたのを見てついに堪忍袋の尾が切れ、立ち上がった。
そして、次の瞬間凄まじい音がなった。
ガッ!!!メキメキメキ・・・バキッ!!!ゴゴゴゴッ・・・
「バキッ?」
そうカノンが呟いて他のみんなもその音がしたほうを見てみるとが獅子宮の石柱を折り、今にも投げようと構えていた。
流石の面々も口元を引きつらせて冷や汗を流す。
まさか、そんなものを担げるとも思わなかったのが一つとそれがもしかするとこれから飛んでくるかもしれないという恐怖が一つ。
「まさか・・・・」
「嘘だろ・・・?おい!」
「いい加減にしろ!」
「うわぁあ!!」
ギュルルルル!バキバキバキバキバキ!!ズゴッン!!!!
ギギギギギッ・・・ドスンッ・・・
獅子宮の柱を巻き込みながらそれは静かに止まった。
四人は何とか間一髪の所でしゃがんで事なきを終えた。
は石柱を投げたままのポーズで固まっていたが顔を上げてにっこり凶悪な笑みを浮かべて言った。
「もう喧嘩しないよね?もちろん」
「「「ハイ・・・」」」
それに力強く頷くとムウに駆け寄る。
「ごめんね。ムウは何にもしてないのに・・・」
「いえ。いいのですよ。私も聖闘士ですからちゃんと避けれますしいざとなればテレポーテーションとかで何とかなりますから」
「そう?よかった」
といってムウとは何もなかったかのように和やかに会話をし始めた。
アイオリアはとりあえず恐る恐る声をかけた。
「?」
「はい?えっとアイオリアさん」
「アイオリアでいい。俺もお前の事認めるよ」
は突然の言葉に驚いた。
「え?ほ、本当!?私まだ何にもしてないのに・・・」
その言葉にカノンとデスマスクは
「「(十分にした!!!石柱折って投げるなんて一般人はやらねー!(ない!!)」」
「いや、俺は十分に君には力があると思う。だから認めるよ」
そういったアイオリアの言葉には喜びのあまり勢いよくアイオリアに抱きついた。
「!?」
「本当に!ありがとう!アイオリア!」
「あ、いや、あ、え、ああ!!いや、ちょ、そ!!」
アイオリアは抱きつかれたドキマギしながらされるがままになっていた。
「なんかアイオリアの奴いい思いしてないか?」
「ちくしょー面白くねぇ!!」
「まあ、あとでじっくりとアイオリアと話をしなければなりませんね」
「「え?」」
ムウのその言葉に冷や汗を流しながらムウは怒らせてはいけないと思ったデスマスクとカノンだった。
獅子宮突破!!次は処女宮!!
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