「次は魔羯宮か」
「次はシュラか・・・アイツも頭固いからな」

デスマスクは不安げにそう呟いた。
長年共にいるだけに一番不安を感じているのだろう。

「確かにそうですね。まかり間違ってもいきなりエクスカリバーとか撃ってこなければいいんですが」

ムウは呆れたようにそう言う。

「確かにそうだな・・・まあ、シュラも流石にそこまでしないだろう」






GARNET MOON

第十五話 十ニ宮突破!!第十の宮・魔羯宮







「あのさ・・・なんで黄金聖闘士ってまともな人が少ないの・・・?」

三人の会話を聞いていて思わずそう告げてしまう。

「それは・・・」
「なんともいえんな・・・」

の一言で皆口を紡ぎ暗い雰囲気が漂う。
変人集団の一員だと思うと何とも言えない気分になってしまったのだろう。
言ってはならない事を言ってしまったのかなと気まずくなってしまった
とりあえず気を取り直して目の前の魔羯宮へと入ろうとした。

「ま、まあ、とりあえず入ろうよ。あの、お邪魔しま・・・・って!!うおっ!!!」

が魔羯宮に足を踏み入れた途端、いきなり金色の光が一閃して飛んできた。
思わず避けただったが後ろにあった木が音を立てて真っ二つに倒れた。
その光景に思わず叫ぶ。

「な、何事!?」

訳の判らないはさて置き、三人は状況が理解できたのか頭を抱える。

「アイツ・・・・」
「シュラ・・・あなた本気でエクスカリバーをいきなり・・・」
「打つのかよ・・・あの、バカ・・・」

三人は呆れて脱力していた。
そこに颯爽と噂の人物は現れた。

「女。なかなかやるじゃないか」

淡々とそう告げるシュラにデスマスクが突っ込む。

「シュラ!ってめぇはいきなりエクスカリバーを打つなっ!死んでたらどうするつもりなんだよ!?」

珍しく正論を告げるデスマスクだがシュラは一向に悪い事をしたつもりはないらしく平然と言う。

「ふん。その程度で死ぬような奴が聖闘士ましてや黄金聖闘士が務まるはずもない」
「常識を考えてください!」
「死んだら死んだで女神は激怒するだろうな」
「・・・アテナの為だ」

はシュラ達がそんな話をしている中、必死に頭の中を整理した。
何か状況がよく理解できないけれどとりあえず私を試したのよね?
唐突に木を真っ二つにするような技を打つ?
しかも、あれ。
もし、当たってたらあの世逝きよね?
これって仕返してもいいのかな?
っていうか報復しないと気が済まない。
そういうとはひっそりとある物を持って、シュラの背後に立った。
シュラは気づく事なく、それに気づいた三人が声を上げた。

「「「あ」」」
「ん?・・・ゲフッ!!」

ドガッッッッッ!!!

は振り上げた釘バットをそのままシュラの頭に振り下ろした。
しかも、思いっきり小宇宙を籠めて。

「不意打ちでいきなり人を殺そうとするなんて許せないっ!」
「クッ・・・」
「おーい・・・・生きてるか?シュラ?」
「むしろ。そのバットどっからでてきたのですか??」
「沙織ちゃんにもしもの事があったら使って下さいって渡された」

アテナも一体何を渡しているのだと面々は心の中で突っ込む。

「(アテナっ!聖域で武器の使用は認められていないのでは!?)っていうか打ち所が悪かったら死んでたぞ?」
「大丈夫!加減は出来てる筈!」

そのの一言で呻いているシュラ以外全員が

「「「(その根拠のない自信は一体どこから?)」」」

とつっこんだことは言うまでもない。
そこで漸く少し復活したシュラが震えながら立ち上がる。

「凶器を使うとは卑怯な・・・」
「お前が言うな!お前が!!不意打ちは卑怯じゃねーのかよ!?」

デスマスクはもう完璧にツッコミに回っている。

「そうよ!それに黄金聖闘士が背後を取られる方がいけないんじゃないの?」

の容赦ない言葉にシュラは大打撃を受ける。。

「そ、れは・・・」

だが、まだは気が済まないらしく精神的ダメージを与えようとしてある事を思いついた。

「シュラって純情でしょ?」
「な、純情・・・!?」
「うん。例えば・・・えいっ!」
「!?」

チュッっと軽い音を立てての唇がシュラの頬を掠めた。

「ああああああああああああああ!!!」
「おま、お前!何!?」
!?」

シュラは完全にフリーズして固まっている。

「本当に固まった!」

は愉快そうに笑っていたが三人がいきなり詰め寄ってきた。
それは物凄い勢いで。

!?山羊がいいんですか!?山羊なんかが好みなんですか!?」
「そうだ!シュラなんてこの年齢で中○生日記みたいな反応を見せるんだぞ!?」
「なんでシュラなんだ!!??シュラのどこが・・・・」
「ど、どうしたの?みんな?キスなんか外国じゃあ挨拶代わりでしょ?」

皆の反応に動揺する

面々がシュラは自分の唇を手で覆いながら、顔を赤くしてぼそぼそと何か呟いている。

「あー・・・シュラの奴完璧に潰れちまったな・・・」
「どうするんだ?あれ・・・・」
「いっその事もう一度殺しますか?」

爽やかな笑顔で今すぐにでも殺そうと拳を鳴らすムウ。
カノンがそれを押しとどめる。

「とりあえず落ち着け。な!落ち着け!」

すると、はまたまたどこから出してきたのかシュラの頭を軽くピコハンでピコッ!っと叩いた。
それに漸く我に返ったシュラは目の前にいるを見る。

「なっ!!」
「シュラ大丈夫?」
「・・・・・」

シュラは赤面して無言になった。

「(よく見ていなかったがこの女、かなりタイプだ。じゃなくて!!俺はこの女を試すはずだったんだ。
でも、やっぱり綺麗だ。この胸の高鳴りはなんだ?もしかして俺はこいつに惚れたのか!?訳が判らん!!!)」
「シュ〜ラ〜?」

は下を向いていたシュラの顔をしゃがみ込んで覗いた。

「なっ!!!」

それに驚き先程よりも赤面するシュラ。
とりあえず平静を装えと自分に暗示を掛けるが如く胸の内で叫ぶ。
そして、ゆっくりと顔を上げるとに告げる。

「・・・・コホン。俺も認める」
「え!?本当??」
「あっ、ああ・・・お前が言っている事は最もだったからな」

シュラはの満面の笑みに再び赤面していた。

「ありがとう!シュラ!!これからよろしくね!!」
「ああ。よろしく。

赤面も収まり余裕が出てくるとどうにもに触れたいという衝動が出てしまい思わず頬に手を添えた。
そんないい雰囲気の中、デスマスクが声を上げた。

「どうでもいいがシュラ。お前なんか違う世界にいきかけてんぞ?」

そういわれてシュラは、ハッ!!としから慌てて手を離した。

「だ、誰がだ!!」
「まあ、認められましたし。急いでここを立ち去りましょう。山羊に襲われますよ?」
「ムウ!!!!」
「おそ??」
「お前は知らなくていいんだ」

そういいながらカノンはを撫でた。
まあ、そんなこんなでついに魔羯宮も突破!!
次は宝瓶宮!!