これは、何なんでしょうか・・・
私の前には氷山みたいな氷の塊がどーんと置いてあります。
っていうかそれが入り口にあるもんだから通れません。
聖域って一体どうなってるんですか!?
GARNET MOON
第十六話 十ニ宮突破!!第十一の宮・宝瓶宮
「ねえ。なんで聖域に氷山みたいな氷の塊があるの?」
私は何がなんだかわからない感じで言った。
「たぶん、カミュだろうな。ここを守護している水瓶座の黄金聖闘士のカミュがお前を新しい聖闘士として試す為に作ったんじゃないか?」
「そうでしょうね。でも、他の黄金聖闘士でも中々壊せないものをどうしろと?」
「ムウ、それを言ったらお終いだろ・・・」
そう言いながらもどうしたものかと四人はその氷山を見つめた。
「ところでそのカミュってどんな人?」
「そうですね・・・しいていうなら弟子バカでしょう」
「弟子バカ?」
「弟子の事をちょっと異常なまでに気にしすぎだからな・・・」
そして、デスマスクがこう言った。
「それにアイツ、クールになれっていっつもいってるがお前が一番なれよと俺は思うぞ?」
今思ったんだけど、みんなにどんな人かって聞くのって無駄かも。
っていうか聞くごとに不安になる!
「ま、まあとりあえずこれなんとかしないとね・・・」
「天秤座の聖衣なら壊す事もできますが・・・取りに行くにしても遠いですし」
「あ!」
ははっとして声を上げた。
「どうかしてのかよ?」
「いや、ちょっと疑問に思ったんだけど小宇宙を使えば炎とかって出せるの?」
その言葉に皆は顔を見合わせた。
「ええ、可能でしょう。ですが、はまだ小宇宙を使い始めて間もない。難しいとは思います」
「そっか・・・でも、やってみるだけやってみようかな」
「そうだな。もしかすると案外簡単に出来ちまうんじゃねぇか?」
デスマスクがそう気楽に言う。
「確かに格闘センスがいいから可能かもしれんな。じゃあ、俺がコツを教えてやるよ」
カノンがそう申し出ての隣に立つ。
「いいか。そもそもお前はまだ小宇宙が安定してない。いきなり大きくなったり、小さくなったりしてるのは感じているだろ?」
「うん」
「だから、それを安定させて拳に一気に集中させる。アルデバランと戦った時なんかがいい例だ。あの感じを思い出してまずやってみろ」
素直に頷くと意識を集中し、小宇宙を纏う。
微かな揺らぎを調整していく。
そして、小宇宙を拳へと集中させていく。
「そうだ。後は炎をイメージしろ。お前ならおのずと出来る筈だ」
カノンの声を聞いて炎をイメージする。
目の前の氷山を消すような強大なイメージを。
炎の華を咲かせる。
身体に巡る小宇宙を放出するように炎を出す。
「燃え上がれっ!白炎獄華!!」
漲る小宇宙を勢いよく放出する。
白炎が氷山を包み込む。
物凄い水蒸気が霧を作り出す程に。
そして、それが明ければ目の前にあった氷山は綺麗に消えていた。
それと同時に入り口から声が響く。
「見事だ」
出てきたのは一人の男。
「えーっと・・・貴方がカミュ?」
「そうだ。いきなりの無礼すまなかった。私も君を新しい黄金聖闘士として認めよう。カミュだ。よろしく」
「よろしく!カミュ!」
そういうをまじまじと見てカミュは言った。
「しかし・・・本当にこんな少女とは思わなかったぞ・・・?氷河達と同じぐらいか?」
「カミュ。こう見えてもは17歳だ」
「・・・・・本当か?」
カミュは信じられないとでも言うようにを見た。
「本当ですよ。カミュ。まあ、氷河たちが少し成長が良過ぎなんですよ」
「そんなに私って色気ないかな?」
はそういって自分の胸をまじまじと見た。
「お前、意味が違うんだよ!」
思わずデスマスクが突っ込んだ。
「すまなかった。私たちと三歳違いだとは思わなかったんだ。気を悪くしたか?」
「そんなことないよ?でも、カミュってとっても優しいのね。きっとお弟子さんにも好かれているんだろうな・・・え?」
弟子という単語を出した途端、カミュはダーーーーーーーーーーーっと涙を流した。
「え?え?私なんか悪い事言った!?」
「いや、そんな事はないですよ。単に思い出し泣きというやつです」
「す、すまない・・・つい感極まって・・」
「べ、別にいいけど・・・(カミュも変わってるな・・・)」
「」
「何?カミュ?」
泣き止んだカミュが唐突に言った。
「もし、何か困った事があったりしたらいつでも相談してくれ。私で力になれる事があるならなんでもさせてもらう」
「ありがとう!!カミュ!!」
なんか今までで一番好感度が高い出会いだったのでは?と思う三人だった。
そうして、宝瓶宮を後にした四人を見送った後。
カミュは小宇宙でミロに話しかけた。
「(ミロ。)」
「(あれ?カミュ。珍しいな。どうかしたのか?)」
「(私ははじめて恋というものをしたのかもしれない・・・)」
「(え?え?ええー!!それってか!?だよな!?ちょ、ちょっと俺も好きなんだけど!?)」
「(ならばライバルだな。絶対に負けるつもりはない。)」
「(ちょ・・・!いきなりライバル宣言するなよ!!っていうか俺だって譲らないからな!!)」
それからしばらくの間、脳内会話で言い争っていたことを他の誰も知らない。
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