「ここが教皇の間か・・・」

はそう呟き周りを見回した。
あまりにも大きいそこに思わず呆然とした。






GARNET MOON

第十八話 対面!!教皇様大感激!!







、さっきから落ち着きがないぞ?目が魚のように泳いでるおるわ」

茶化すような童虎の言葉に向きになって否定する

「童虎!そんなことないもん!!」

童虎とそうやって談笑し合う内に少しリラックスしてきた。
そう、思っていた矢先である。

「童虎!!おぬしばかりその娘とじゃれあうなー!」
「はぃぃいいいいぃい!?」

はいきなり聞こえた声に驚きすっとんきょんな声を出した。
その声の主は猛烈に目の前まで走ってくると童虎に食って掛かる。
黄緑の髪を靡かせて仁王立ちで目の前に立つ男を見て童虎はに抱きつき、意地の悪い笑みを浮かべて言った。

「ほっほっほっ!シオン。おぬしはまだまだと仲がよいわけではないからのう〜ほれほれ羨ましいじゃろう〜!!」
「童虎〜!!」
「え?いや。え??」

二人の子供の喧嘩のような様子に混乱する。
他の面々は少し頭を抱えている。
どうやら目の前にいる人物が教皇のシオンらしい。

「シオン!それに老師も!!が困っています!!」

見かねたムウが助け舟を出した。

「お、すまぬのう。
「別にいいですけど・・・えっともしかして教皇様って・・・」
「わしが教皇のシオンじゃ。待っていたぞ?!話は女神から聞いておる。本当に愛い奴じゃのう〜」

そういうと何の躊躇いもなくシオンはに抱きついた。
ここに来てから抱きつかれてばかりのである。

「ええ!?えっと・・・教皇様!?」
「シオンと呼び捨てでかまわぬぞ〜その方がわしも嬉しいしのう」

シオンはご機嫌のままを抱きしめてじゃれている。
余程、に会いたかったらしい。
だが周りがそれを快く思わないのも確かで他の黄金聖闘士も騒ぎ始めた。

「おいっ!!ジジィ!!てめぇーに気安く抱きついてんじゃねーよ!!」
「いくら教皇だからといってそれはいけないのではないでしょうか?」

デスマスクとサガがまず最初に突っ込んだ。

「うらやましいですよ!!俺だって抱きつきたいのに!!」
「ミロ、それは突っ込む所が違うだろう・・・」

すると、どんどん騒ぎが大きくなっていった。
このままでは収拾がつかないとが注意をしようと口を開いた。

「えっと・・・!!みんなとりあえずおち・・・・」

その時であった。

「うろたえるな!!小僧共!!」

から一時的に離れるとそう言って力一杯全員を投げ飛ばすシオン。
これも小宇宙が成せる技なのかと思わず呆然としてしまう。

「わしは小僧ではないがのうー」

童虎は飛ばされながら呟いた。
しばらくして、ハッと我に返る

「ええ!?いやいやいやみんな大丈夫!?」
「これぐらいじゃあこの者達は死にはせん。心配することはないぞ?」

平然とそう告げるが辺りは屍累々といった様子である。
一般人が入ってくればここは地獄がというような光景だ。
思わず天然ボケのでも口元を引くつかせてしまう。

「そ、そなのかな・・・・?」
「そうじゃ!そうじゃ!おおっとそうじゃった。黄金聖闘士になったからには色々と必要なものもでてくるじゃろう。
には服もかってやらなければならないのう。それに家具もとっておきのものを買って。明日にでもぜひ行かねばな」
「え!?」
「わしと行くのは嫌かのう?」
「いえ!嫌じゃないですけど?」
「そうか!そうか!なら約束じゃぞ?
今日はとりあえず教皇の間に泊まるといいぞ。わしの部屋で一緒に寝ようではないか!!」
「ええ!?」

突拍子もない事を暴走気味に言い出すシオンを止める者は地面と熱くキスを交わしていて使えなく、はどうすればいいか迷っていた。
すると、そこに救いの神が現れた。

「シオン!!お姉様に手を出すなんて私が許しませんわ!!」

そんな声のあとにシオンの頭でゴンッという音が鳴った。

「うおっ!!」
「へっ??」

唐突に撃沈したシオンを見て驚いていると何処からともなく現れた沙織に両手を握られた。

お姉様!何もされてませんか??」
「沙織ちゃん・・・・いや、シオンは大分大丈夫じゃないような・・・・」

女神もとい沙織はニケで思いっきりシオンの後頭部を殴ったのだ。
益々屍累々と化した室内に呆然とせざる負えない。

「これくらいちょっとしたお仕置きですわ!!お姉様に不埒な事を・・・」
「いや、そうなのかな?」
「そうですわ!」

そして、数分後ようやく皆が復活して話を始める事ができた。

「という事で皆も御姉様を新しい仲間と認めた訳ですし。
私はぜひお姉さ様の為にに宴を開こうと思っているのですが。シャカ、あなたの沙羅双樹の園を会場として提供してくれませんか?」
「私は構いませんよ。まあ、多少蟹などが入るのは嫌だが・・・」
「なんで俺は嫌なんだよ!?」
「品がない。礼儀がない。それ以外に何かあるかね?」
「てめーな・・・!!」

再び乱闘が始まってしまいそうなところを慌ててアイオロスが宥める。
手馴れているのは一番年長者らしいからであろうか。

「まあまあ、折角のの歓迎会なんだ。
そういうことは水に流して。俺としてもとは同じ射手座として話してみたいしな〜」
「女神、他には何かすることはありますか?」
「そうですわね・・・・とくにはないですわ。ただ皆さんがお姉様に不埒な事をしなければと思っていますが」
「それは・・・」

思わずサガやムウやカミュなどはお酒が入ったら数名がしそうだなと思った。

「それでは早速準備をしましょう。お姉様はしばらく休憩しておいてくださいませ。部屋を用意させますわ」

そういって沙織が部屋を提供してくれた。
は部屋に入った途端、ベッドに体を預けた。

「はぁ・・・・疲れた・・・・」

コンコン!!

「はい?」
「すまんのう。少しいいかのう?」
「シオン?どうぞ開いてるから入って」
「では、邪魔するぞ?」

がちゃりと言う音ともにシオンが踏み入ってきた。
シオンの格好はかなり先ほど見たものとは違い軽装になっていた。
白いシャツにジーンズといったラフな姿だ。
髪も一つに下のほうで束ねている。

に服を持ってきたのだ。それと少し話がしたいと思ったのでな」
「話?」
「ああ。そなた自身についてなのじゃが。そなた昔から不思議な力が使えたのか?」
「うん。使えたよ。昔は無意識に使ってしまった事もあったりして大変だったけどね」
「そうか。それともうひとつ。おぬしは今まで学校に通っておったのだろ?良いのか?」

シオンのその言葉に少し残念そうな表情を浮かべる。
が、最後には微笑みこう告げた。

「あー・・・確かにね。最後まで通えなかったことは残念だけど私が選んだ道だからいいの」
「そうか。おぬしは強い子じゃな」

そういいながらシオンはふいにの頭を撫でた。

はふと懐かしい感じがした。
記憶があやふやで過去の事はあまり覚えていない為、判らなかったがとてもとても懐かしい気がした。

「それでは。また後で宴の準備ができたら呼びにくる。ゆっくり体を休ませるのだぞ?」
「うん。ありがとう。シオン」
「うむ」

そういってシオンは部屋から出て行った。
扉の外でそっと呟いていた。

「あの時、わしがまだ幼かった時、会った少女はやはりだったのだな・・・人の縁とはなんとも不思議なものじゃな」

そういってシオンは少し微笑した。
そして、幼き頃の記憶を思い返す。

「この歳でまさか恋とはのう。だが若いもんに負けるのもしゃくじゃな」

シオンはそう呟き足を進め始めた。
浮かべた表情は少年のようにあどけなかった。

「ここはみんな温かいな・・・・」

は部屋の中で一人呟いていた。

「温かすぎて壊れそうでとても怖い・・・もう絶対に大切な人を失くしたくない。兄様。どうか力を貸してください。皆を守れる力を」

―この温かい私の新しい家をどうか壊されないことを何よりも願った。