「私を殺す?愚かな我が子等よ・・・輪廻の輪へと戻るがよい。その穢れし魂の浄化の為に」
これは・・・・過去?
あの時の記憶?
でも、これは私じゃない・・・
貴女は誰?
私はあの時何をしたの・・・?
GARNET MOON
第二十一話 過去の不安と新たな出会い
「−−−−−−−−−っ!ハァハァ・・・夢?」
あまりにリアルな夢に私は驚き飛び起きた。
あれは本当に夢だったのだろうか?
でも、鮮明に思い出す事の出来ない映像にはどうする事も出来なかった。
ただ、部屋には陽光が差し込んでいた。
射手座の新しい黄金聖闘士になってもう一週間。
一週間と言ってもまだ修行などはしていない。
人馬宮に住むのに色々と準備をしなければいけなかったし事務的な手続き等もあった。
今日は疲れただろうという事で沙織が休暇をに与えていた。
「折角の休暇なのにこんな夢見るなんて・・・・」
私はそう呟き憂鬱な気分を抱えつつ着替え始めた。
その時、いきなり扉が開いた。
「おーーーーい!!今日休暇だった・・・・よな・・・?アレ?」
「・・・・・きゃあああああ!!!ミロのバカ!」
「ぐへっ!!!」
はその場にあった椅子を放り投げ扉を勢いよく閉めた。
ミロはその場に蹲っている。
「だからあれほどノックをしろと言ったのだ」
カミュは呆れてそう言った。
そして、着替え終わったが出てくると、
「本当にごめん!」
とミロが両手を合わせて力一杯謝る。
「いきなり開けるなんて!!本当にミロのバカ!!また沙織ちゃんに言うからね!!」
「そ、それは勘弁してくれよ!!また干物にされる!!」
ミロはそういって泣きついた。
「蠍の干物って言われるのは嫌なんだよー!」
「全て自分が悪いのだろ?」
「カミュ、おはよう。もう、ミロなんてほっといて行こう!」
「そうだな」
「〜カミュまで〜待ってくれよ!」
そんなやり取りの中、が問いかける。
「ところで何のようがあったの?」
「いや、今日はに会わせたい者たちがいてな」
カミュはそういうと少し微笑んだ。
どこか嬉しそうな表情が垣間見れる。
「そうそう!青銅聖闘士の五人に会わせたかったんだ。話は聞いてるだろ?」
「あ、うん。沙織ちゃんから少しだけだけど」
先の聖戦でとても多くの功績を残したらしい青銅聖闘士の五人。
どんな人かとは思っていたけれどこんなに早く会えるなんて思わなかった。
「今日からしばらく聖域で生活する事になって今日到着する筈なんだ」
はへーっと言いながら頷いた。
「そういえばその中にカミュのお弟子さんと童虎のお弟子さんがいるんだよね?」
「ああ、私の弟子は白鳥星座の氷河。老師の弟子は龍星座の紫龍だ」
「氷河くんに紫龍くんかー」
どんな子なのだろうかと想像を膨らませて微笑む。
「他に天馬星座の星矢にアンドロメダ星座の瞬、その瞬の兄貴で鳳凰星座の一輝の五人だな」
「星矢くんに瞬くん、それに一輝くんかーよし!!覚えた!!」
はそう言ってガッツポーズをした。
「いつも思うんだがは記憶力がいいよなー」
「というか何事も飲み込みが早い」
「そうかな??」
「ああ、仕事を覚えるのも早くてすごく助かっている」
カミュはそういっての髪を撫でた。
ここに来てからどうにも家族が増えたみたいでこういう一瞬一瞬がとても心地よく幸せだ。
「そうだと嬉しいな〜あ、そういえば星矢くん達って何歳なの?」
「全員よりは年下だ」
「そうなんだーじゃあ、弟分だね」
するといきなりミロがおっ!といって下の方を指した。
「あれ、星矢たちじゃないか?」
「本当だな」
「おーい!!星矢ー」
はその言葉を聞いてわくわくしながら下を見た。
「ミロ!それにカミュも!」
「お久しぶりです。我が師カミュ」
「ところでその人は・・・?」
瞬がの存在に気づき訊ねる。
初対面なのだから当然の疑問であろう。
それに聖域では女性が十二宮に居る事自体がかなり希少である事も理由の一つだ。
その問いにミロが悪戯を仕掛ける子供のように反応を伺い見るように告げた。
「彼女は新しい射手座の黄金聖闘士だ」
「「「「ええーーーー!?」」」」
「・・・・・・!」
四人は声を出して驚いた。
一輝も声には出さないものの驚きを隠せないようだ。
「初めまして。新しく射手座の黄金聖闘士になったよ。でいいわ」
そのの声を聞き、五人も自己紹介をした。
「でも、女性の人が黄金聖闘士になるなんて・・・」
「ひとつ気になっていたのですが仮面は?」
紫龍が静かに聞いた。
「ああ、それは女神が免除したのだ。もう仮面をつける前に大分顔を見られたからな」
「それに彼女は強い。あのシャカさえ負けたのだからな」
再び五人は驚いた。
「でも、あれは天舞宝輪を破っただけで・・・」
「それでもすごいよ!」
謙遜する瞬は思わず声を上げた。
はというとそんな瞬を見て本当に聖闘士は可愛い顔をした人が多いなぁっとしみじみ痛感する。
何だか女性としては複雑な気分である。
「まあ、立ち話もなんだ。とりあえず移動しよう」
「そうだね。そうだ!よかったら人馬宮によっていかない?」
「人馬宮に?」
カミュが聞き返すとは両手を合わせてにこやかに言った。
「ええ。昨日の夜、少しお菓子作りをしてたの。折角だから休憩がてらにお茶をごちそうするわ」
「本当!?さすが!!」
一番喜びを露にするミロを見てはきっぱりと告ぐ。
「ミロにはあげない」
「な、なんで!?」
「だってさっき!!」
「あれは謝っただろう!!」
「たまにはミロにも灸を据えねばな」
「カミュ〜」
「さすがカミュ!!話がわかる!!」
カミュは優しく微笑みを見た。
昔からの仲間であるように打ち解けているを見た五人は驚き目を見張る。
「あんなに優しく笑ったカミュを俺は初めて見た・・・・」
氷河は信じられないと言った様子で言った。
どうやら弟子の氷河でも見るのが珍しい光景なのだろう。
「むしろミロが年下に見えるぞ?」
「まあ、ミロはしょうがないと思うけど・・・・」
「シャカの天舞宝輪が・・・・?」
「兄さんはそこが気になるの?」
「でも、綾乃さんって美人だなー・・・」
そんなやりとりをしつつ、人馬宮へと一同は向かう。
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