「沙織ちゃん・・・・・」

は沈んだ声と共に教皇の間に現れた。

「お姉様??どうかされたのですか??」
「いや、非常に言いにくいんだけど・・・・日本へ一度帰郷させて欲しいんだ・・・・」

この一言からまたしても事件が起こる。






GARNET MOON

第二十四話 日本帰国と学校見学・前編







「それは構いませんが・・・何かあったのですか??」
「いや、そのね・・・学校、急に辞めたもんだから生徒会とかの引継ぎが終わってなくて・・・
昨夜、副会長だった幼馴染に一晩中仕事が進まない!!って怒られて・・・今すぐ戻ってこいと・・・」

その言葉にそこに居合わせたカノン、サガ、アイオロス、シオンは驚き声を上げた。

「お前、生徒会なんてやってたのか!?」
「な、なによ!その失礼な質問!!!」
「ちなみに役職は?」

サガが気になってに問うた。

「・・・生徒会長」
「すごいんだな・・・・」

アイオロスも感嘆とした声を上げた。

「ふむ。しかし、生徒会長となると一度戻らぬと生徒会の方も困るだろう・・・女神」
「わかっていますわ。もちろん構いませんわ。その代わりといってはなんなんですが」
「何?沙織ちゃん??」

すると女神もとい沙織は笑顔でこう言った。

「私、今まで学校というものに行った事がなくて・・・ぜひ学校を見てみたいのですわ」
「「「「「は?」」」」」
「早速、手を回してお姉様の学校を見学できるようにしましょう。
なので次の帰国は明日ですわね。お姉様と一緒ならさぞ楽しいでしょうし、楽しみですわ〜」

という訳でこの度、女神もとい沙織ちゃんとボディーガードとして、
カノン、アイオロス、アフロディーテ、デスマスク、アイオリアというメンバーで日本へ帰国です。

「で、今日ここで待ち合わせなんですか?女神」

カノンが控えめに聞いてきた。
その理由もさきほどから異様に学生の視線が突き刺さっているからである。
まあ、その理由は黒スーツの男が大量にいるせいと聖闘士のルックスの良さだろう。

「なんで俺まで来なきゃいけねーんだよ!」
「まあ、デスマスクもここまで来てそういう事を言うのはどうかと思うよ。それに今回の帰国はの要望だったんだしね」
「そうなのか?」
「そうだぞ。それをそこまで否定するとは男として認めん!」
「いや!!アイオロス。それは関係ねーだろうが!!!」
「あのさ・・・どうでもいいけど皆かなり目立ってるよ」
「「「「「!?」」」」」
お姉様!!」

そこに現れたのは制服姿のだった。

皆は始めて見たため固まった。

「な、何!?何で固まるのよっ」
「いや、孫にも衣装とはこの事だな・・・」
「カノン!!!」
「カノン。それはいくらなんでも女性に失礼というものだよ。
とてもよく似合っているよ。女性とはやはり衣服一つで変わるものだね」

アフロディーテがそういうとアイオリアも控えめに言った。

「俺もその・・・似合ってると思うぞ」
「あ、ありがとう。皆。カノンは聖域に帰ったらきっちりし返すから」

そんなやり取りを終えては気になっていたことを問うた。

「でもさ・・・カノン達とか入って大丈夫なの?」
「「「「「え?」」」」」
「え?って知らないの??私の学校女子高だよ??」

の発言に面々は核爆弾を落とされたぐらいの衝撃を受ける。

「「「「「えええ!?」」」」」

驚いた一同をものともせずに沙織は言った。

「その辺は大丈夫ですわ。すでに交渉済みです」
「え?でも、昨日の今日だけど・・・・」
「そのへんは財力にものを言わせたので」

あの、女神が財力にものを言わせてっていいのですか・・・?

「まあ、とりあえず行きますか」

そういって歩き出した一同はに質問し始めた。

「そういえばの幼馴染って?」
「ああ、叶花蓮って言うんだけど。かなり小さい時からの付き合いでね。
今向かってる女子高に行かないかって誘ったのもその子なの。私は留学してたし、もう大学も卒業してたしだ行く気なかったんだけどね」

そのの台詞にまた一同は固まった。

「大学を卒業してたって・・・お前そんなに頭良かったのか!?」
「デスマスク!酷いな!普通よ!!普通!何その言い方だと私馬鹿みたいじゃない!」

普通といえども大学を卒業していたとなるとかなりのIQの高さである。

「っていうかお前の場合、謎が多いんだよ!」
「あはは。まあ、デスマスクももそう声を荒げなくとも。それには可愛い顔が台無しだよ?」

爽やかに嗜めるアイオロス。
しかし、さらりと可愛いなどと真顔で言っちゃう辺りアイオロスも凄い人物である。

「へ・・・?あ、ありがとう」

も何だかその言葉に興を削がれてしまった。

「おい、アイオリア」
「なんだカノン」
「アイオロスってあんなにたらしっぽかったか?」
「俺もちょっとビックリしてる」

そんな会話をしている二人の後ろからアフロディーテがこういった。

「なんだかアイオロスは天然のたらしっぽいね」
「「天然たらし・・・・」」

そんな新たな事実が発見されたところでデスマスクが声を上げた。

「おい・・・なんか前からすごい勢いで女が走ってくんぞ」
「え?」
!!」

「うわぁ!!花蓮!!!」

花蓮と呼ばれた少女はその走ってきた勢いでに掴みかかった。

「あんたは!いきなり居なくなったせいでどんだけ仕事溜まってんのかわかってるわけ!えええ!」
「ご、ごめんなさいいいいいいいい!!!」
「謝って済むと思ってんのか!今日は引き継ぎ+その仕事もやってもらうからな!」
「ええ!?」
「つべこべ言う・・・ぶっ!!」

ドコッ!!と激しい音を立てて撃沈する少女に面々が唖然とする。
すると、前方からもう一人女学生がやってきた。

「もう、花蓮ちゃんったらそんなにしてはちゃんが困っちゃうじゃない。
それに帰国したばっかりなんだからそんなに激しく歓迎したら駄目よ。他にお客様だっているんだから」
「あの・・・小夜。沈んでる・・・花蓮」

思わぬ友人の凶行に青褪めた表情で伺う

「また力加減まちがえたかしら??でもそう簡単には死なないから大丈夫ね。それよりちゃんお帰りなさい」

聖闘士達が皆アテナと同じ属性だと思ったのは言うまでもない。

「あ、うん。ただいま」
「それと後ろのお客人の方々もようこそお越しくださいました。私どもの学園。神華女学院へ」

固まっていたカノンとかを尻目に沙織は

「今回は見学をさせていただく許可をいただけて感謝していますわ」
「いえいえ、ちゃんのお知り合いの方ならという事もありますし、私から父に取り合っていただいたんです」
「するともしかして君は・・・」

アイオロスが控えめに聞いた。

「ええ。この学院の理事長の娘ですわ。ちなみに生徒会では生徒会長補佐を勤めてます」
「イテテ・・・小夜!!痛いだろうが!!」
「それは花蓮ちゃんが悪いんでしょう」
「まあまあ。ふたりとも・・・・カノンたちもそこで突っ立てないでおいでよ」

すると小夜は恍惚とした表情での手を握った。

「さすがはちゃん。素敵なまとめ具合、そして気配り」
「小夜。あんた相変わらずの信者ね・・・」

そんな様子にデスマスクが不安げに聞いた。

「おい・・・お前の友人は一体どうなってんだよ・・・・」
「あはは・・・・個性が強いのよ・・・・」

だが、聖域も似たようなものではとは思ったがあえて言わなかった。
そんなこんなで校門をくぐるとまた異様な空気に包まれた。

様だわ!ごきげんよう」
「きゃああーー!お姉様!」

そのような叫び声があちらこちらから飛んでくる。

「なんというか・・・・」
「この学校少し怖いな・・・」
「あはは・・・」

カノンは青ざめた表情で言った。
渇いた笑いを浮かべる
するとカノンたちに気づいた生徒がわらわらと集まり始めた。

「うおっ!!なんだ!!??」
「きゃー!!かっこいい!!」
「素敵ですわ〜是非お名前を!!」

すぐに花蓮が止めに入る。

「おい!お前ら!!」

だが誰一人聞く耳を持つ様子もない。
思わずブチギレそうになる短気な花蓮の前にが出る。

「しょうがないな・・・私が止めるよ」

するとは大きく息を吸った。

「いい加減にしないか!!」

その声にあたりが静まりかえる。

「私がいない間にそこまで学園の雰囲気は悪くなっていたのか?皆はそのような生徒だったのか?
私は非常に残念だ。私がいなくとも皆ならば素晴らしい学園を気づいてくれているだろうと思った」
様!!そのような事ありませんわ。私どもったらはしたない真似を・・・」
「そうですわ。様の意志は皆に伝わっていますわ!様、本当に申し訳ありません・・・」

次々と非礼を謝る声が響く。

「ならいいんだ。皆のその気持ちはしっかり伝わった。さあ、早く教室に行きなさい」
「それでは本当に申し訳ありませんでした」

そういって次々と生徒が去って行った。
まさに鶴の一声である。

「すごいな・・・あれだけの人数を抑えるなんて・・・さすがだね」

アフロディーテが微笑みにそういった。

「そんな事ないよ。皆がいい生徒なだけだよ」
「いや、そんなことはないさ。の力だよ」

素直な褒め言葉に照れて微笑む

それを花蓮がそっと横で見つめていたがすぐ視線を逸らした。

「それはいいけど・・・・アイオリア。死んでるよ??」

「あ」といった感じでアイオリアを見ると彼には刺激が強かったのか顔を赤くして倒れていた。
仕方なくアイオロスがアイオリアを運びつつ、一同は一度生徒会室に向かった。
アフロディーテとデスマスクは沙織についていき理事長室と学園長室へといった。

「さて、ここが生徒会室ですわ」

小夜がそういって微笑み扉を開けた。

「お帰り小夜ちゃんーって!姉様だぁー!」
「うおっ!!!桜・・・・イタイ・・・・」
姉様お帰りー」
「ハイハイ。ただいま」

熱烈な歓迎を受けていると桜と呼ばれていた少女が背後にいるカノン達を見つける。

「って後ろのビューティーなお兄さんたちは誰ですかぁー??」
「俺はカノンという。の職場の同僚といったところだ。こっちのふたりはアイオロスにアイオリアだ」

その紹介にほぇーと桜は声を上げた。

「外国人さんなのに流暢な日本語なんですねー」
「あ、実はそれは私も謎でしかたがなかった」

も今までの疑問の指摘に同意した。
そんなこんなで一息吐き、生徒会室の応接室にてカノンたちはお茶をいただくことになった。

「で、。あんたは休んでる暇ないんだよ。さっさと仕事して」
「え」

そういわれては涙ながら凄まじスピードで仕事を始めた。
それを見たカノンが小夜と桜に問う。

「いつもあんな感じだったのか?」
「ええ。そうですわね。ちゃんはいつも仕事も速くて皆に気を使って完璧な人間でしたよ。
誰もがそう思っていたでしょう。でも、それは違いましたのにね。それを知ったのはしばらく後でしたが」

アイオロスがその言葉にまた問う。

「違うというと?」
姉様が一度倒れた事があったんですよ。その時、寝ながらうなされていたんです。ずっとうわ言のように謝りながら」
「昔の事が原因なのか?」
「そうらしいですわ。花蓮ちゃんの話では」
「ということはお兄さんの話かな?」

アイオロスはそういった。
その言葉に少し驚いたように小夜は見た。
そして、控えめに尋ねる。

「もしかして皆さんは知っていらっしゃるのですか?」
「ああ・・大体の事は聞いてる」

すると小夜は少し寂しそうに微笑んだ。

「皆様にはちゃんも心を許していらっしゃるんですね。今日、久しぶりに会った時、ちゃん変わっていましたから」
「うん。姉様、元気になってた。それに雰囲気が和らいだというか・・・・」
「そうだったのか?」
「ええ。ちゃんは決して人には弱みを見せようとしませんでした。雰囲気ももっと周りを警戒している雰囲気がありましたし」

小夜がどこか悲しげに沿う呟くと桜がにっこりと笑った。

「お兄ちゃんたちのお陰だね」
「そうですわね。ありがとうございます。そして、これからもちゃんをよろしくお願いします」

丁寧に礼を言う小夜。
それを見てここでどれだけが大切にされてきたのかがわかる。
ただ、はこの大切にしてくれていた人の事を思いやるほどの余裕がなかったのだ。

「お礼を言われるほどの事はしてないよ。でも、は俺たちの仲間だから。お願いされなくても見捨てたりはしないよ」
「それもそうだ。あいつは俺達に色々なものを与えてくれる。そんな奴を見捨てるはずもない。
まあ、裏切るはずは絶対にないがな。それに、はアンタたちの事もきっと大切に思ってるはずだ。形は違えど」

その言葉を聞いて安心したのか小夜は微笑んだ。

「ねえ!もしかしてお兄ちゃんたちって姉様のこと好きなの??」

桜がそういって面白そうに聞いた。
思わずカノンはお茶を噴出した。

「ブッ!!い、いきなり何を言うんだ!!」
「俺は好きだけどなーカノンだって好きだろう?」
「あ、アイオロス!!」
「やはりそうでしたの?まあまあ、ちゃんはモテモテですわね」
「ねえ!お兄ちゃんたちはちゃんのどこが好きなの??」

そういって桜の尋問が始まった。

「(日本の女子高とは恐ろしいところだ!!)」

カノンはそう思いながら尋問を流した。
その頃、アイオリアは・・・・

「(起きたくとも話しの流れで起きれないでわないか!)」