あれから数時間後。
の仕事も片付き、沙織達と合流となった。
GARNET MOON
第二十五話 日本帰国と学校見学・後編
「お姉様!お仕事は終えられたのですか?」
「うん。ようやく・・・沙織ちゃんはなんか今から見学??」
すると沙織は困った顔を浮かべながら、
「ええ。本当に長ったらしい話をグチグチと聞かされて・・・本当に鬱陶しかったですわ」
と笑顔で言った。
笑顔と言葉のギャップが激しいんですけど!
「そ、そうなんだ・・・あはは・・・そ、それより今からなんだったら私も一緒に行くよ」
「本当ですか!お姉様と一緒だなんて嬉しい限りです♪」
「じゃあ行こうか」
「ハイ」
そんなこんなで学校見学が始まったのですが・・・・・
「まあまあまあ。部活とは面白そうなものなのですね〜」
「そうだね〜部活は結構楽しいよ♪友達も増えるしね。沙織ちゃんは入るとしたらどの部活が良いの?」
「そうですわね〜合気道とか剣道とかなぎなたとか弓道とかやってみたいですわ♪」
な、なんでそんなに武術系なんだろう・・・?とは思わず思った。
他の聖闘士はというと・・・・
「おいっ」
「なんだい?デスマスク?」
「アテナが武術なんてやってみろ!絶対に俺ら相手とかさせられんぜ!」
「それは否定できないね・・・」
「というか絶対にそうだぜ!っていうかに近づく男を根こそぎ殺しそうで怖いぞ」
小声でデスマスクがアフロディーテに話した。
するとカノンがこう言った。
「その前に武術なんてやらなくとも人一人ぐらいなら簡単に殺しそうだぞ?」
「「・・・・・・ありえる・・・」」
そんな会話をしてるとが急に声を上げた。
「あ、私ちょっと部活の方に顔出してくるね!向こうの引継ぎもやっとかないと!」
「わかりましたわ。私たちはここで待ってますわ」
「わかった!!すぐ戻ってくるから!!」
そういっては走り出していった。
すると生徒会の中で唯一付いてきた花蓮が口を開いた。
「あなた方に少し話があるんだけど」
沙織が花蓮に向き直り返事を返す。
「あなたは確かお姉様の幼馴染でしたよね?」
「ええ。の事で皆さんに確認をとっておきたくて」
その言葉に他の面々も花蓮を見た。
「の事というと一体なんなんだ?」
「が過去に悲惨な出来事を体験しているとは知っているわよね?」
その言葉にアイオリアが肯定するように頷いた。
「それがどれだけ悲惨なものだったかはこれを見てもらったらわかるわ」
すると花蓮は一枚の写真を取り出した。
「「「「「「・・・・・!!!」」」」」」
思わずカノンたちは息を呑んだ。
そこには真っ白な病室のベッドの上で座っている幼い時のの姿があった。
それはあまりのも弱弱しかった。
殆ど体に肉がついていなく、顔も蒼白で生気がない。
そして、今では想像も付かないような冷たい表情を浮かべていた。
全てを諦めたようなその表情は虚ろで絶望を感じさせるものだった。
「これは・・・・」
「よ。当時の捜査資料の写真。手を回して手に入れたんだけどね」
「はそれほど酷い場面に出くわしたのか?」
カノンは静かに問うた。
その問いに花蓮は顔を歪めて叫ぶように告げる。
「酷いなんてものじゃないわ!!目の前で最愛の兄を殺されるのを見たのよ」
「なんだって・・・?」
アフロディーテも思わず驚きの声を上げた。
「それも肉親である両親によ。本来はが殺されかけたの。それを兄である怜がかばって・・・」
「そんな事が・・・・」
どんな惨状だったかは判らないが聞くだけで壮絶な事件に面々は口を噤む。
花蓮はそれでも話を続ける。
「もう一つ。はその現場で発見された時、兄の死体を抱えてずっと両親の死体を見てたの。
でも、誰が両親を殺したのかわかってないのよ。はまったく記憶を無くしていたし覚えていたのは兄が目の前で刺されるところまで」
そして、続けて花蓮はこういった。
「私の予感だけどいつかこの事件が何かの身に変化を及ぼすと私は思うの。
その時は貴方たちにを救ってほしい。私ではどうすることも出来ないから貴方たちならきっと出来ると思うから・・・」
縋るようにを一途に思い、頭を下げて頼む花蓮の姿。
それに面々はただ重い空気を背負い、沈黙を続けた。
するとデスマスクがいきなり声を上げる。
「てめーに頼まれる筋合いはねぇ」
「デスマスク!!」
アイオリアがデスマスクを睨んだ。
だが、デスマスクはこういった。
「頼まれないでも元よりを救うのは当然だろ?あいつは俺たちにとってもう大切な存在なんだからよ」
憎まれ口を叩きつつも当然だと言わんばかりにを想う言葉を告げる。
「デスマスク・・・ふっ、君と言う奴は・・・私も同感だね。私たちにとってあの子は守り守られる存在なんだから」
「そうだな・・・俺はあの子を後継者としているし、尚を思い入れがあるから余計だな〜」
「・・・兄さんの言うとおりだな。は俺たちにいろいろと教えてくれる。戦うことしか知らなかった俺たちに」
「あいつは無理するし、溜め込みやすい。だから俺たちが世話してやらんとな」
「その通りですわね。私にとってはもう本当の姉みたいな存在ですし、なお出来ることがあるならなんだってしますわ」
その言葉に花蓮は思わず目を見開いた。
長く付き合ってきた自分よりもを理解していると。
そして、次に笑いをふと浮かべて言った。
「これなら任せられそうだ。のことよろしく頼む」
「ああ」
この後、すぐにが戻ってきた。
そして、学校見学も終わり帰る刻限となった。
「じゃあ、。元気でな」
花蓮がそういった。
「うん。花蓮もね。他の皆にもよろしく!」
「ああ。それと後ろの人らもまた今度は日本観光にでも来ると良い」
「ああ。そうさせてもらう」
「じゃ、またね!花蓮」
「元気でな!」
そういって車にたちは乗り込んだ。
数名は別の車だが。
「。お前は良い友達を持ったんだな」
「?どうしたの?カノン。いきなり・・・・」
「いや、そう率直に思っただけだ」
「ふーん・・・でも、確かに大切な人たちだよ。花蓮たちは」
「そうか」
「うん」
今回の日本訪問でいろいろと知った皆はそれぞれ色々な思いを抱えて帰国となった。
『早く・・・・早く私を目覚めさせて・・・』
そんな中、不穏な空気が動き始める・・・
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