なんだかよくわからないうちに僕と兄さん二人でさんの観察日記をつける事になった。
でも、まあいいか。
GARNET MOON
第三十話 射手座観察日記・瞬&一輝編
そんなわけで瞬と一輝は観察をする為にを捜していた。
「ねぇ。兄さん」
「なんだ?」
「兄さんはさんの事はどう思ってるの?」
瞬は素朴な疑問を一輝に問いかけた。
一輝はしばらく考えるような仕草を見せ、ゆっくりと口を開いた。
「不思議な感じがするな。こう、聖闘士とも人間とも似ぬ何かを感じる気がする」
「不思議な・・?うーん。よくわからないや・・・あ!あそこにいるのさんだ!!」
の姿を見つけた瞬は駆け出した。
一輝もその後を追っかける。
「さーん!!・・・ってあれ?」
「どうかしたの・・・・何なんだ?一体・・・・」
「あら?瞬君と一輝君。どうしたの?私に何か用?」
二人に気付いたはにっこりと笑顔を浮かべている。
だが、そのの手には何かが握られていた。
の後方ではシュラとアフロディーテが呑気に紅茶を飲んでいる。
しかし、明らかにが持っているものがおかしいのだ。
見間違いでなければアフロディーテ達が座っている金属製の椅子に見えるのだが。
瞬と一輝はゆっくりとの下を見る。
そこには蟹座のデスマスクの姿があった。
瞬は状況が状況なだけにシュラとアフロディーテに問いかけた。
「あ、あのっ・・・あれは一体・・・」
「あの蟹が悪い。放っておけ」
ズバッと見捨てた一言を告げたシュラ。
「まあ説明すればこういう事さ」
そう言ってアフロディーテが静かに説明し始めた。
その内容はこうだ。
四人でお茶を楽しんでいたときの事。
最初は他愛もない話をしていたのだが急にデスマスクがに対して暴言を吐いたらしい。
「・・・お前って胸小せぇな・・・」
デスマスクが言ったその一言が全ての発端となった。
その説明に瞬と一輝は呆れたようにこういった。
「それは蟹が悪いですね・・・」
「そうだな。蟹が悪い」
「本当に黄金聖闘士の風上にも置けん。あの蟹は」
「まったくだね。女性に対して本当に失礼な事を言う。あの蟹は」
全員で蟹コール。
これに対して流石に我慢ならなかったのかに制裁を食らわされて瀕死状態だったデスマスクが声を上げた。
「誰が蟹だっ!?黙ってきいてりゃあ・・・」
「うるさいわね。蟹。でも、それだけ元気ならもう少し殴ってもいいかな・・・」
立ち上がろうとしたデスマスクの前に立っていたが再びにっこりといい笑みを浮かべると椅子を振り上げる。
「ちょっ!?待て!!!!ここは平和的にな・・・」
その様子に慌てたデスマスクが必死に説得を試みる。
「問答無用」
冷たい声と共に物凄い小宇宙の込められた椅子が振り下ろされた。
「あじゃぱぁああーーーーー!!」
哀れ、蟹。
蟹もといデスマスクの小宇宙が消えかけようとしていた。
「。その辺でもういいんじゃないか?蟹などを長時間触っていては君が汚れる」
「そうだな。そいつはその辺に捨てておけ」
「それもそうだね。瞬くんと一輝くんも一緒にお茶しない?」
呆然としていた二人にはそう問いかけた。
笑顔を浮かべているがの顔には所々返り血がついている。
「じゃあごちそうになろうかな・・・ねぇ?兄さん」
「・・・・そうだな」
そう言ってその後二人はたちと共にお茶を共にした。
心の中でさんには逆らわないでおこうと心に決めて。
○月×日 担当:瞬&一輝
さんはなんていうか強い。
うん。
凄く強い。
でも、優しくて料理上手で素敵なところがいっぱいある人だと僕は思うな。
兄さんはやっぱり不思議な感じするってずっと言ってたけど。
でも、やっぱりさんは射手座の聖闘士に相応しいなって僕は思ったよ。
とても素敵な女性が新しい黄金聖闘士になってよかったなぁ。
以上、瞬でした。
こうして射手座観察日記は終わりを迎えた。
五人の結論はさんは黄金聖闘士に相応しい人だということ。
とても優しく、とても強く。
とても尊敬できるということ。
それが彼らの結論だった。
知らぬ間に五人の信頼を得ていたに新たな事件が襲う。
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