「うわっぁ!!」
!右の攻撃の反応が遅い!!」
「きゃっ!」
「全体の反応が落ちてきてるぜ!」

はい、ただいま鍛錬のお時間なのですが・・・
軽く死に掛けてます。
っていうかこの二人実は仲がいいんじゃないですか!?






GARNET MOON

第三十二話 己が力を証明せよ!・中編







「そろそろ休憩にしよう」
「そうだな」
「ゼェーゼェー・・・」

なんとか生きてるみたいです。
でも、聖闘士が体力オバケだってことは知っていたけど。
身をもって体験する羽目になるとは思わなかった。
だって二人とも三時間動きっぱなしの激闘で息切れ一つしないんだよ!?

「二人とも・・・ありえない体力だね・・・ゼェハァ・・・」

率直な感想を私が述べるとサガとカノンは不思議そうな顔をした。

「そうか?普通だと思うけどなぁ?」
「まあ、は女性だ。少し体力が足りないのも仕方あるまい」

ってか貴方たちの体力は普通レベルじゃないですって。

「それに体力なくなったら聖闘士なんて即リストラ即ニートもしくは即ホームレスだって」
「うわぁ・・・そんな暗くなる話やめてよ」

リアルに本気で沙織ちゃんならリストラしかねんと思ってしまった。
それも物凄い満面の笑みでずばっと。
そんな風な他愛もない話をしている内に休憩を終えた達が鍛錬を再開しようとした時だった。

「サガ様、カノン様」

そんな声が聞えたかと思うとそこには聖域の一般兵が居た。

「どうかしたか?」
「鍛錬中失礼いたします。サガ様、カノン様、女神がお呼びです。至急に教皇の間までお越しくださいませ」
「女神が?何かあったのだろうか?」
「ったく仕方ねぇーな。、悪いが今日の鍛錬はここまでな!」
「あ、ううん!全然いいよ!沙織ちゃんが呼んでるなら仕方ないしね」

その後、は急ぎ足で立ち去る二人を見送った。

「さて・・・自主鍛錬でもしますかー」

気合十分にそう構えた時だった。
ふと背後に人の気配を感じた

風がざわめく様な違和感を感じつつも振り返る。

「え・・・」

そこには一人の男が立っていた。
ただ、聖域の頂上を見て。
は不思議に思いつつもその男に対して不信感は抱かなかった。
警戒することもなくただ立ち尽くしている男に声を掛ける。

「あの・・・何を見てるんですか?」
「!」

声を掛けられたことに驚いたように男はを見た。
そして、男はを見た瞬間。
さらに驚き目を見開いた。

「そなたは・・・ガイアなのか・・・?」
「え・・・?」

いきなり呟かれた言葉には驚きそのまま男を見つめ続ける。

「いや・・・しかし・・・」

男はそう呟くとそのままに近づいた。
そして、頬を愛おしげに撫でて呟く。

「そなたの名は?」
「私は・・・貴方は?」
「私は冥界を納める神、ハーデス」
「冥界の神・・・ハーデス・・?」

急な事に理解できずには首を傾げた。

「って・・・えええええ!?」

話には聞いていた先の聖戦で戦った冥界の神・ハーデス。
今は協定を結んでおり、敵ではなくなったと聞いていたがまさかこんな所に居るとも思わず。
驚きのあまり大声を上げてしまった。

「呼び捨てにしておいて今更驚くのか。おもしろい娘だ」

笑いを噛み殺しながらそう言われて思わず顔を紅く染める。

「ご、ごめんなさいっ!!ハーデス様!!」
「いや、呼び捨てでかまわん。か・・・お前の名、覚えておこう」

ハーデスは踵を返し歩きだそうとした。
それをあわててが止めた。

「待って!」
「なんだ?」
「なんで冥界の神であるハーデスが地上に?それにガイアって・・・」

その言葉に笑みを一瞬消したハーデスだったがすぐ穏やかな笑みを添えて言った。

「冥界の神とて陽の光を浴びたいものでな。ガイアは・・・戯言だ。そなたが気にするような事ではない」

はそういったハーデスに対して何かを言おうとした。
だけど、それは言葉にならなかった。

「それではな・・・また会おう。

そうハーデスが告げた途端、強風が吹いた。
そして、がその風に瞳を伏せている内にハーデスはその場所から居なくなっていた。
ただ、は立ち尽くす。
自分の口元を押さえて驚愕を浮かべ。

「私・・・あの時・・・何を言おうとしたの・・・?」

ハーデスに対して言おうとしてた言葉。
の意識など無視して出ようとした言葉。
それは・・・

『貴方はやはり鋭い子。また逢えましたね。ハーデス。』

それは自分の中にある何かの声。