時間は刻々と過ぎてあの戦いから一ヶ月。
私は、ようやく全てを受け入れれた。
そう、受け入れれた。
それでも私は私だから。
だって、そうでしょう?
私の中に眠るガイア。
GARNET MOON
第三十六話 真白の約束
「久しぶり。ガイアさん」
私は、今私に似て非なる存在の前に居る。
真白の世界で。
「貴女は、受け入れたのね。全てを」
銀色の髪、金色の瞳は私を見つめて呟いた。
それに私は力強く頷く。
「だって、例え貴女の力が宿ってても私は私だから」
何も変わることなどない。
私の意志は消えやしない。
私は私。
例え、自分の身を守るために屍を作っていたとしても。
それでも私は私だから。
「ガイアさん。私は私なりに守るよ。貴女が愛したものを」
「・・・貴方はそう言ってくれるのね」
「うん。だって私も好きだから。どんなに汚い部分があっても」
彼女は愁いを帯びた笑みを浮かべた。
「貴女に背負わせるつもりはなかった。けど、力がそれを許してくれない。私の意識はもうまもなく貴女と一つになる。
もう助けてあげれない。だけど、貴女ならもう大丈夫ね。きっと貴女なら聖戦などという神の争いなど起きぬ世界にできる」
「私一人じゃないからきっと出来ると思えるなぁ。私も。私には仲間が居るからきっときっとそんな世界が現実になると思える」
その言葉に女神はある確信を抱いたように告げた。
「貴女ならばきっと今まで転生した人々と違い、私の神衣を纏えるでしょう。
冥界に封印している私の神衣を。その神衣が少しでも貴女の力になればいいのだけれど・・・」
「神衣・・・」
「そう。最初に私が生み出した衣。創造神ガイアの神衣。冥界の奥深く嘆きの壁のその先にあるエリシオンの奥に眠っているわ」
その言葉に私はこくりと頷く。
「。どうか、貴女は我を見失わないで。何があっても己を持ち、意志を持ち生きて」
「ガイアさん。大丈夫。絶対に大丈夫。私は負けないから」
「・・・ああ、もう時間がないみたい。。私は貴女を本当の我が子のように思っていたわ。誰よりも愛おしいと思っていたの。
貴女の本当の母であればいいのにと思うほどとても素敵な子。どうか、貴女の未来に幸あらんことを祈るわ。心の底から願うわ。誰よりも強く」
そういってガイアは優しく私を抱きしめた。
精神だけの世界なのにその抱擁はとても優しく温かく感じた。
「私も、ガイアさんが母様ならよかったのに。
・・・ううん。私にとってはきっとガイアさんが母様。だって、私を守ってくれた。我が子のように。だから」
「・・・」
消えかかっている姿で彼女は驚き目を見張る。
私はそんな彼女に微笑んで告げた。
「母様。またね。また会おうね」
「・・・ええ。いつか会いましょう。その時には貴女の幸せなお話を聞かせて。愛おしい私の子」
そう告げて頬にキスを落とすとさらさらと砂のようにガイアは消えていった。
そして、真白の空間で一人立ち尽くし、意識を暗闇へと落としていった。
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