「ふぅ・・・終わった・・・」
仕事が終わった私はパソコンの前で上に伸びをする。
凝り固まった体が解れていくようだ。
ゆっくりと立ち上げると冷蔵庫に向かう。
中からお気に入りのミネラルウォーターを取り、喉に流し込む。
乾いた喉に冷たい水が流れていく刺激がとても心地よかった。
そして、ふと窓に目をやると青々とした空が私を誘っているように見えた。
「久々に出かけようかな。ここのところ籠もりっきりだったし。」
思い立ったが吉日。
私は即刻行動に移した。
Act5:Under the blue sky.
「んー!!外に出てきて正解だなぁ・・・」
青く輝く雲ひとつない空は気分を意味もなく上昇させる。
さっきまでの疲れが嘘のように。
「とりあえず買い物にでも行きますか・・・」
一人そう呟くと私は早速駅前へと向かった。
お目当ての店を見つけた私はゆっくりとその店へと向かう。
すると突如として目の前が暗くなった。
「だーれだ?」
少し高めの少年の声に私はすぐピンと来てその少年の名を呼ぶ。
「シンちゃんでしょ?」
「あたりー♪久しぶりだね!♪」
外された手が伸びてきていたほうへと顔を向けると無邪気に笑うシンちゃんの姿があった。
私はその無邪気さがつい微笑ましくなって驚いた事などどうでもよくなってしまう。
「本当に久しぶりだね。でも、どうしてここに?」
私がそう質問するとシンちゃんはにっこりと満面の笑み浮かべる。
「この間、が遊びに来てもいいって言ってたから来ちゃった!」
そういえばそんなことを言ったなぁ・・・と記憶を思い返す。
そして、再び視線をシンちゃんに向ける。
「そうだったんだ。ならここで会えてよかったね。会えてなかったら入れ違いだっただろうし。」
「だねー♪もしかして今買い物中?」
「うん、まあね。最近仕事ばっかりで買い物とか出来てなかったから・・・」
苦笑しながら私はそう言った。
するとシンちゃんは唐突に私の手を掴むと先ほど入ろうとしていた店へと歩き始める。
私は引っ張られるようにして一緒に歩き始めた。
「シ、シンちゃん??」
「じゃあ、僕と一緒に買い物デートしよう♪」
「デ、デート!?」
いきなりの発言に私は目を丸くしながら大声を上げてしまった。
ちなみにここは人通りの多い表通り。
多くの人の視線が激しく突き刺さる。
思わず情けない表情を浮かべ、頭を下げる。
そして、シンちゃんに向き直る。
「ね?!デートしよ?」
「私はいいけれどシンちゃん暇じゃない?」
その言葉にきょとんと目を見開いたがすぐさま笑顔になってこう言った。
「と一緒にいればなんだって楽しいよ。」
そして、今度は私が目を見開いた。
今まで一緒に居て楽しいなんて初めて言われたもんだから。
心地よい温かさが心を満たしていく。
そんな快感に酔いしれつつ、私はほほ笑んだ。
そして、小さく「ありがとう。」と呟いた。
「ん??何か言った?」
「ううん!じゃあ、付き合ってくれるお礼に今日はおいしいケーキご馳走してあげる。」
「本当!?わぁーい♪大好きっ!」
なんだか本当の姉弟にでもなったみたいだ。
あの時、私があの子を見捨てなければこんな風に一緒に歩けていただのだろうか?
そう思うと表情に悲しみが溢れる。
「ー!!早く行こうよ!」
シンちゃんの声に我に返った私は微笑みを浮かべて駆け寄った。
私はさっきの考えを振り払いながら歩き始める。
今まで感じた事のない幸福が身を染め出す。
でも、幸せになる資格は私にはない。
だって、私は人を殺せし咎人なのだから・・・
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