あれから2、3時間程して私達は別れた。
何だかとても話が盛り上がり、再びタクミとレンがあの時と同じようにダウンしてしまったからだ。
そして、私はヤスに送ってもらう事になり今帰路についている。
Act7:In the room of which the light of neon streams.
「ねぇ?ヤス。」
「ん?」
聞いていいものかと一瞬思案をするが聞いて駄目ならヤスは話さないだろうと思い、ゆっくりと口を開く。
「あのね。シンちゃんの事で聞きたい事があるの。」
「あいつとなんかあった?」
心配気な表情を浮かべてヤスがこちらを見る。
私は曖昧な笑顔を浮かべた。
「特別何かあったってわけじゃないんだけど。・・・怒ったの。」
「え?」
「シンちゃんが仕事と称してやってる事に。」
そう告げるとヤスは納得したように「ああ・・・」と唸った。
「それでシンがキレたんだろ。」
「そんなとこ。」
「ったくアイツはガキなんだから・・・」
ヤスは頭が痛いと言わんばかりに溜息を吐いた。
彼もどうやらこの件について思う所があるのだろう。
「まあ、俺もシン自身の問題だからあんまり強く言えない。
でも、快くは思ってない。一度注意した事はあったんだが聞きやしない。」
「そっか・・・」
私より付き合いの長いヤスがそう言うんだから私が言ったら逆効果もいい所だったと言う訳か。
なんでそんな簡単な事に気付かなかったのだろうか。
全く、本当に最低だ。
自己嫌悪に陥りつつも気丈に振る舞い、ヤスの話に耳を傾ける。
「あいつの家庭もなんか複雑みたいでね。それもあるんだと思うよ。」
家庭環境が複雑。
そうか、私は・・・
「ごめんね。こんな事聞いちゃって心配になって気になっちゃたもんだから・・・」
それだけじゃない。
たぶん、私はシンちゃんに自分と同じものを感じていたのだ。
心の底から漂う悲愴。
それが私ときっと似ていた。
「いや、これぐらいかまわないさ。それよりちゃんこそ何か他にもあったんじゃない?」
私の気分が落ち込んでいたのを察したからかもしれない。
それとも先程のメイドとのやり取りだろうか。
どちらにせよ彼が私を善意の心で気に掛けてくれている。
私はそれだけで胸が一杯になる。
だけど、私は笑顔を浮かべて「なんでもないよ。」と答えた。
私は心配されるほどの人間じゃないから優しいヤスの言葉は嬉しいけど痛かった。
「そう?ならいいけどなんかあったらいつでも連絡して。」
深く追求をせずにそう言ってくれたヤスはやっぱり優しい人。
そんな彼の優しさに素直に頷いた。
「うん。ありがとう。それじゃあ、ここで。」
「ああ、またね。」
別れを告げて家の中へと入った。
「はぁ・・・弟とシンちゃんを重ねるなんてバカみたい。」
自分の所業に自己嫌悪しながら部屋の中に座り込んだ。
部屋の明かりもつけず、街の光だけが差し込む部屋で溜息をついた。
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